「そういやお前名前は?聞くの忘れてた」
「えっ・・!いえ、若様のお耳にいれる程のことでは・・」
「俺が知りたいんだよ。いつまでも"おい"だの"お前"だの呼ぶのはお前もうっとうしいだろ」

なんと、お心が優しいのでしょう・・!
若様に、私めの名前、を・・・

「なっ、奈良・・!奈良かのこ、と・・申します!
こ度の任務、きちんと役目を果たし、決して若様の足手纏いにはならぬよう、誓います・・!」
「・・・・かのこ・・・かのこ、ねぇ」

名前を唱えられる度、跳ね上がりそうな程の喜びが体中を流れて、

「よし、かのこ!これからお前に託す任務はかなり厳しいが、
俺も早く里に戻れるよう精一杯尽力する。例え俺がここからいなくなっても、
常に二人三脚・・二人で一人だと思え!里の外、里の内を考えながら慎重に行動するんだ、いいな!」
「了解致しました、若様・・!」



少しずつ、準備は整ってきました。
影武者という大役、必ずや・・若様の居場所をお守りいたします・・・!



「・・じゃ風呂入るか」
「えっええええええ・・・!あ、あのっ、お先に夕餉などお召し上がりになっては・・!」
「俺風呂してから夕飯派なんだ」
「しししししかしそのあの・・!わ、若様は殿方ですっ・・・!」
「まー任務で泊まりがけのがあったらめんどくせえけどそこは術で応用きかしてくれ。
俺の日常を知っていくのも俺になりきる為だ、風呂も何かしら役に立つだろ、どこから洗い始めるとか」
「あっ・・・洗い・・・」
「シンクロ率高めるためにもいつも一緒だって言ったろ、ほれ入るぞ」

ああ・・
今日こそがかのこの命日だったのです・・ね・・・・




数時間後、
風呂の熱が冷める頃になってもかのこの顔はだんだんと火照るばかりであった。











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