「こっからだとよく見えるだろ、ぎりぎりだけど」
「は、はい・・!と、特徴が皆さん、ありますものね・・!」

大きな広場、
その中心で元気に遊びまわるのは、若様のご友人達。
慣れない木の枝の上で、用意されていた顔写真の特徴を照らし合わせて
ご友人達の把握を素早く、素早く頭にねじ込みます。

「覚えが早くて助かるな」
「いっ・・・いいえっ!あの・・!べ、勉学は趣味ですので・・!」

何を口走るやら私の口は。

「アカデミーの卒業試験自体は俺が受ける。合格はすぐにもらえるけどよ、
額宛はお前が受け取るんだ。俺はもうその日にはいない。
何かあったら自分で対処できるようにきちんと考えておけ」
「・・・はい!」

若様は、いなくなる。
そうして影武者となるのが、この私。
・・額宛を受け取ることもせず、木ノ葉の忍として認められることもなく、そのまま里を抜けて・・・
そうまでして成し遂げたいこととは、一体何なのでしょうか・・。
わからないままですが、私めに聞く資格などございません。

「幸い、お前は見ていて頭がよさそうだ。何か起こっても十分にできるんじゃねえかって期待はするぜ」
「そ、そんな・・!もったいないお言葉です・・!」
「・・・っと!今日はもうこのへんで終わりだな・・そろそろ日が落ちてきちまう。
本格的に俺のことを学んでもらうのはまた明日からにするからな、覚悟しとけ」
「・・はい!!」

全身全霊をこめて、このかのこ、
若様の足手まといにはなりませぬ・・・!

くす、とご友人達の様子を見て笑む若様。

「さて・・・しばらくは騙されてもらわねえと、な・・」

その表情は、まるでいたずらを考えているような無邪気さと、
どこか悲しげな雰囲気も、感じさせました・・・。



「・・・!」
「?どうしたんだシノ?」
「・・いや、あそこに何か気配を感じたのだが・・気のせいのようだ」







>



- ナノ -