ハァ、ハァ・・・・・。
寝台で横になる美朱・・・息一つするのも辛そうな様子だ。

「美朱・・・こんなに苦しがって・・・」

その横に寄り添うように、星宿が不安そうな声を上げる。

「・・・すいません、俺達がついていながら・・」
「・・鬼宿!市内で何があったのだ!?ことによってはただではおかぬ・・・」
「チ・・・・チンピラに絡まれて助けただけですが・・・」

鬼宿が言葉を濁しているのが紅蓮と柳宿には分かっていた。
あの出来事は・・・・今口にして言いことではない。

「陛下、見たところ朱雀の巫女は随分衰弱されていますな。極度の緊張と疲労・・・体力的にも精神的にもまいっておられるようだ。
今に始まったことではないようですが・・・肉体はともかく精神的部分は何とも・・・」
「治せぬと申すのか!?ではどうすれば・・・」




「・・・・ちゃ・・・・ん・・・・」




小さく、美朱の寝言が聞こえた。

「・・・ふぅ・・・・ちゃん・・・・モーリン・・・」

紅蓮にだけは、その意味が分かった。
・・・・いつも美朱と一緒にいる、仲良しグループの子の名前だ・・・・。

「唯・・・・ちゃん・・・・」


唯ちゃん


そういえば・・・あの鎧の男の一件から、全く消息が分からない・・・・・。

「美朱・・・・お前・・・・元の世界に、帰りたいのか・・・」
「「!」」

紅蓮の言葉に皆はっとする。
星宿はぎゅっと・・・何かを決断したかのように拳を握る。

「皆の者、話がある」
「はっ・・・はい!!」
「・・・・美朱は俺が見とく・・・後で話聞かせてくれ」

パタパタと星宿の後に続いていく面々。
紅蓮は全員が室内からいなくなって・・・開きっ放しだった室のドアを閉めた。

「・・・・・唯・・・・ちゃん・・・・」
「ごめんな・・・・美朱・・」




俺、な。
唯ちゃんと、この世界で会ったんだよ。
しかも・・・・・唯ちゃん攫われちまった・・・。
ごめんな。
俺・・・・本当に、お前のことしか見えてなかった・・・無事を祈ってたのはお前のことだけで・・・。
ひどい話、唯ちゃんのことも・・さっきの寝言でようやく・・っ!




「・・・ごめん、な」




俺、本当にひどい兄ちゃんだな。
昨日だって辛くあたっちまった。
お前の一番大事な親友まで・・・・知らず知らずのうちに、見捨てようとしてた。
・・・・・さっき、お前泣いてたよな?
鬼宿にふられて。
俺が、あん時・・・どんな風に思ってたか分かんないだろ?


(やった)


・・・・そんなこと、思っちまった・・・・。
最低・・・だよな。




「ごめん」




なーにが幸せ、だよ・・・・こんなに泣かせといて・・・。
俺、いつからこんなヤな奴になったんだろうな・・・・チクショー。




ぎゅっ・・・と、美朱の手を握った・・・・。

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