「さ、遠慮なく来なさい!」

目の前で気合を入れて立つ少女に、兵士達はやりずらそうに。
そして「無理だ」と悟る。

「・・・・巫女様に恐れ多いことは出来ませぬ」
「そんなこと言ってぇ・・・ホントはあたしが別世界の人間だから怖いんでしょーっ!腕に自信があるってあるってその程度なんだやーいやーい弱虫ーーっ!!」

ぴくっ・・・と武人の顔が引きつる。

「そのヒゲやヨロイは見掛け倒しかーっ!アホーッバカーッマヌケーーッ!!くやしかったらかかってこーいっ!!」

ビキッ・・・と、今度はその顔に青筋が浮かぶ・・・。

「だぁあっ!!もうやめんかっ!!小学生かお前はっ!!」

紅蓮が美朱にやめろと言うが・・・いささか制止が遅かったようだ・・・。
武人達が全員ものすごい顔でこっちを見ている・・・。

「・・・・黙って聞いておれば・・・武人に向かって無礼極まる!!」
「お・・・・おぉっ・・・・!」
「おおっ、じゃねぇーーっ!!怒らしてどーすんだアホーーーッ!!」

紅蓮は青ざめた顔でその様子を目にした。



「「「うおおおおおおっ!!」」」
「「わーーーーーーっ!!」」



美朱と、その隣にいる紅蓮目掛けて武人達がいきりたって襲いかかる。

「何で巻き添えくらわなならんのじゃーーーっ!!」

紅蓮はでっかい声で愚痴をもらしながら美朱を抱きかかえて走った。
殴りかかってくる拳をよけ、すたたたたーっと素早く逃げる。

「何っ全員怒っちゃったの!?こんなかよわい女の子に手を出すなんて・・皆七星じゃないわねっ!!」
「あれだけ言えば誰でも怒るわアホ!!」

腕の中でそんなことを言う美朱につっこむ。
本っ当・・・・この妹は若気の至りがすぎるっ!!

ドォン!!ドォン!!

「うぉわぁあああああっ!!」

武人が投げ飛ばした壺やら何やらがこちらへ向かって来た。
間一髪全て避ける・・・その威力は全て後ろの壁にぶち当たった。

「てめーら素人相手にマジになるんじゃねーよっ!!」

鬼宿が制裁の蹴りをくらわした。

「美朱!!紅蓮!!すぐそこを離れろ!!崩れる!!」
「なっ・・・!?」

ガラガラと崩れ落ちる瓦礫。
視界が一瞬にして塞がれて・・・・。


ズドォン!!


「美朱!!紅蓮ーーーっ!!」

二人の姿は見えなくなった・・・・・。






「あーあ・・・・随分とハデにやってるなぁ・・・」

その様子を宮殿の屋根から見ていたのはあの狐目の僧。
彼はため息を一つして、その場から消えた。

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