翌日。

「こんちは、星宿ー」
「・・・・美朱、紅蓮!良かった・・・心配していたのだ・・・
政が色々あってかまうことが出来ずにすまぬ。・・・・!?」

星宿は鬼宿のボロボロな姿を見て口が開いたままになった。

「た、鬼宿・・・・そ、その怪我はどうした・・・!?」
「いえ、仲良くプロレスごっこしてただけです!」
「嘘つけぇっ!!一方的にボコボコにしてたろ!!」

ぐるるる・・・と獣のように睨む鬼宿を無視して紅蓮は話を続ける。

「実は、聞きたいことがあるんだ、その・・・「神和」についてなんだけど・・・美朱は朱雀とやらを呼び出す為にこの世界に来たんだろ?
じゃあ俺の「神和」ってのはどういう役目なんだ?」
「ああ・・・「神和」というのは朱雀を召喚する儀式で必要な人材でな・・・儀式を執り行う際呪文詠唱をする・・・・言うなれば神官のような・・・」
「簡単に言えば・・・朱雀を呼び出す準備をする役ってことか」

星宿はこくと頷いた。

「じゃあ・・・・朱雀をよびだす方法ってのも教えてくれないか?」



『帰りたいなら「朱雀の力」を手に入れればいーんじゃねぇか?』



昨夜のあの後・・・・鬼宿がえらいボロボロにされて息も絶え絶えに言ったこと・・・・。
そうか、その手があったか!と二人して喜んだのである。

「ああ、それなら今この四神天地書を調べていたのだ」
「「しっ、四神天地書!?」」
(この本のタイトルじゃねぇか!!)

星宿が手に持っていた巻物を広げて見せてくれた。

「太祖がこの世界を司る太一君から渡された預言書だよ」

星宿が説明を始める。

「四神とは正確には天の二十八宿を七星宿ずつ東西南北に分けたもの」
「そのうちの一つが「朱雀」・・・・南の点にある七つの星座の総称なんだ」

紅蓮が星宿の言葉に繋げた。

「あれ?お兄ちゃんよく知ってるね」
「・・・・俺、専攻中国哲学なんだっつの・・まぁ、平たく言えば星の名前だ。鳥の神様じゃないぞ」
「へー」
「その七つの星座の名前は・・・・確か、井・鬼・柳・星・張・翼・軫・・・・「南方朱雀七星宿」って言うんだ」
「た・・・・鬼宿に星宿!?」

紅蓮の言葉に美朱が驚く。

「その通り・・・・よく知っているな。私は星宿・・・鬼宿と共に朱雀七星の者・・・朱雀の巫女を護り力を与えねばならぬ」

スッ・・・と星宿が首周りの衣の生地をずらす・・・その首には朱色の字で「星」と証されていた・・。
んまぁっ!と三人が驚いて・・・その拍子に鬼宿の文字も浮かんだ。

「すっするとっ、あと星座の名前を身体に持ってる人が五人となっ!?」
「その五人を自分の力で見つけ出すのだよ。七星全部揃わねば「朱雀」の力は現れぬ」
「「おうっ・・・・・すぺしゃるロールプレイングゲームッ!」」

それって・・・もんのすごく手間かかって大変じゃん!!
一瞬、気が遠くなった。

「鬼宿知ってたの!?」
「・・・自分の名前が七星の一つとは知ってたけど・・・・するってぇとお前を護るようになってたワケか!」

紅蓮はほっとした。
・・・鬼宿と星宿がやけに美朱に優しいからもしかしたら・・・と思っていたのだが。
何てことは無い、二人は美朱が巫女だからそう接してるだけで・・・・色恋沙汰ではなりそうにない。

「・・・・ちょっと待てよ・・・・美朱、お前都立受験まであと何日だっけ!?」
「!!さ・・・三ヶ月足らず・・・!」

ということは。

「三ヶ月のうちにあと五人見つけて物語終わらせて帰らないと・・・・中学浪人だぞお前!!」
「いやだーーーーーっ!!!!三人目はいずこーーーっ!?」
「待て待て、手がかりが書いてあるのだ。」

大慌てし出す兄妹を星宿が宥める。
そして四神天地書を読み上げた。

「三人目のことは「宮」と「武」としか書かれていないがこれは「宮廷」と「猛々しい力」を表している。
つまりこの宮廷内にもう一人、しかもとても武力にたけておる七星がおるということだ。」

その言葉に少しだけほっとした兄妹である。

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