どうしよう・・・・どうすりゃいいんだ!?
本の中から出られなくなったなんて・・・・もう二度と帰れないのか?
哲也にも・・・・友達にも、会えない・・・?
・・・・そんなの・・・・嫌・・だ・・・!!
―第4話 朱雀の七星―
「「どうしよう・・・・・」」
はぁ・・・・と兄妹のため息がかぶった。
皇帝・・・・後で星宿という名だと分かった・・・その星宿に与えられた部屋、二つの寝台の上で二人とも頭を抱えている。
「・・・ここ来てから、もう何日経ったっけ・・・」
「今頃・・・・きっと・・・・」
『大学二年生のAさん(20)が就職を苦に失踪した事件ですが・・・』
こーなって・・・・・
『私が・・・・私があいつを追い詰めてしまったんです!』
『先生!お気を確かに!』
・・・・・こーなって・・・・
『紅蓮・・・・どうして逝ってしまったんだ・・・・!』
・・・そのうちこーなる・・・・
『・・一緒に就職しようなって、約束してただろ・・・!』
「だーーーっ!!俺は生きとるわーーーっ!!」
「だーーーっ!!あたしは生きとるわーーーっ!!」
美朱の声が同時に響く。
・・・・・どうやら同じことを考えていたらしい・・・。
「こら、百面相兄妹!」
ぽこっ、と二人の頭が軽く小突かれた。部屋に入ってきたのは鬼宿。
「たっ、鬼宿!何よ人の部屋勝手に入ってきて!」
「冷てえの。落ち込んでっから来てやったのに!・・・皇帝も心配してらっしゃったぜ。
お前ら今じゃ国中のウワサだぞ?「巫女と神和」が現れたってな。おかげで俺も宮廷内においてもらえてるし」
「あっ・・・・そうだ鬼宿。その、俺が「神和」だってことは分かったけどさ・・・「神和」はこの世界で何をするために呼ばれるんだ?」
「さぁ・・・?俺も巫女のことは聞いたことあるんだけど・・・・今度星宿様に聞いてみれば?」
「あ、ああ・・・・そうするわ」
そして再びウツになる二人。
「・・・・無理すんじゃねぇの」
鬼宿が、美朱をぎゅっと抱きしめた。
「泣きたい時は思い切り泣く!特別に無料で「兄貴」になってやっから遠慮するな」
美朱が、その腕の中でぽろっと涙を流す・・・。
「その兄貴ならここにいるんですけどねぇ・・・・っ!!?」
「・・・・げっ!!ヤベ・・・・・!」
パッと鬼宿が美朱からはなれるが時すでに遅し。
「たーまほーめく〜ん?お金ならいくらでも払うから・・・・気の済むまで殴らせろやあーーーーっ!!」
「ひいっ!!ちょ、待っ・・・・!!」
哀れな青年の悲鳴が宮殿に響いた。
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