「・・・ラッキー、誰もいねぇ・・・」

適当に、勘で誰もいなさそうな部屋に入ってみると見事勘的中。
人がいない代わりに、一つ大きな像がある場所。

「・・・・これは・・・」

それは大きく羽を広げた赤い鳥・・・ここは、廟のようだ。

(そーいや、この本の前書きにあったっけ)

この像は、四神のうちの一つ・・・朱雀を模したものか・・。
まさか、中国哲学がこんなわけわからん世界で役に立つとは・・・。

「美朱!?いたら返事しろーーっ!!」
「!?」

自分のではない・・・誰かが、美朱を呼ぶ声。
ギィィ・・・・と廟の扉が開いた。

「くそっ・・・ここにもいないか・・・!」


入って来た者の顔を見て、
紅蓮は、反射的に、


「だぁっしゃあーーーーいっ!!」
「どわあああっ!!?」


バキィッ!!
・・・・ドサッ・・・

「あー、スッキリした!!」

・・・飛び蹴りを食らわした・・・・。

「あででで・・・・てんめぇっ、いきなり何しやがる!!」
「うっせぇ!!それはこっちの台詞だ!!美朱はどうした!?一緒じゃねぇのか!?」

廟に入って来たのはあの鬼小僧。てっきり、一緒に逃げていると思ったのに・・。
こいつは今、美朱を探していた・・。

「・・!お前、美朱を知ってんのか!?」
「呼び捨てすんな!!」

ついでと言わんばかりにぶん殴る。

「あだっ!!・・・てめぇ〜・・いい加減にしろよ初対面のくせにっ!!」
「生憎とこっちは初対面に感じないんでねぇえ・・・!!」

まだ会って数秒しか経っていないのに・・・二人の間には火花が飛んでいた。

「・・じゃねぇ!!美朱を探さねぇと!!」
「待たんかい鬼小僧!!俺も行く!!」
「誰が鬼小僧じゃ!!俺には鬼宿って名前があんだよ!!」

鬼宿と名乗った少年は地団駄踏みながら歩いた。

「よし鬼太郎!!美朱探すんだろ!気にくわんが手伝ってやる!一人より二人の方が効率いいからな!!」
「変なあだ名つけんなーっ!!お前、本っ当に誰だ!?美朱を知ってるみたいだけど・・」
「誰だっていーだろ。」
「ざけんな!名前くらい名乗れ!」
「名無しの権兵衛」
「オイッ!!」

あまりにも適当すぎる答えに鬼宿が突っ込んだ。
紅蓮は困惑する鬼宿をよそに、その腕を引っ掴んで引きずっていった・・・。

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