「あそこか・・」
紅南とかいう国の城・・・・美朱を連れて行った皇帝はあそこにいるらしい。
人目を避けて、宮殿の方へと駆けて行く。
(待ってろ!!美朱!!兄ちゃんが今助けに行くからな!)
「邪魔だ、どけっ!!」
「なっ・・・何だ、貴様はっ・・ぐあっ!!」
「でっ・・・伝令ーーっ!!侵入者が・・・あうっ!!」
・・・そうして、何とも無謀なことに、城門の兵士を殴り飛ばし、強行突破を始めるのであった・・・。
―第3話 伝説に記されし者―
「・・・おっと」
ずかずかと宮殿に入り込む。
途中、兵士が視界に入ったので物陰に隠れた。
「何だ、今の悲鳴は!?」
「!?門番が倒れてるぞ!!」
(げっ!!やべ、もうバレた!!)
そう、門番の悲鳴を聞きつけてやってきた兵士達だ。
「これは一体・・・。」
兵士が倒れた門番に気を取られているうちに、その後ろをダッシュで走りぬけようとした。・・のだが・・。
「!?し・・・侵入者だっ!!」
「ぐおお、俺の馬鹿ーーーッ!!」
気付かれてしまった自分の情けなさに嘆いた・・・。
「待てーっ!!」
「待てと言われて待つアホおるかっ!!」
鎧を着てるくせに、追っ手の兵士達の足は速い。
傍観者だったなら「兵隊さんすごいなー」とほのぼの見ていられるが・・・。
それに追いかけられている当事者なのだからのん気なこと言ってる暇も無く。
「ぎょえっ!?」
くるっと様子見で振り向いてみると・・・兵士の数が増えている。
「こ・・・こんなとこで捕まってたまるかぁーーっ!」
壮絶な鬼ごっこの始まりだった・・・。
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