「君、君!大丈夫なのだ?」
「・・・・・」

襲われていた、赤髪の青年。
気を失っているのか、何度呼びかけても返事が無い。

(とりあえず、看病出来る場所に行こう)

青年を背負っているのは、狐目の僧侶。



『死ね』



あの時、鎧の男から放たれた気弾。
あんなモノ・・・直にくらったらこの青年は塵となって死んでいただろう。
<朱雀>の気を感じ取ったこの僧侶・・・その場に駆けつけたと同時にその光景を見た。
助けなくては。
鎧の男の気弾が当たる寸前・・・僧侶は己の持つ能力で青年の姿が自分の元へと現れるように空間を操り、助けたのだ。
・・・・僧侶は片手で印を組み、妖しの術を使う。
瞬く間に周りの様子が変わった・・・・荒れた道が草花に溢れ、綺麗な泉が中心に姿を見せる。

瞬間移動。

僧侶はすぐに青年を大木に寄りかかるように寝かせ、状態を診た。

(外傷は・・・ちょっとだけか。あとは、意識を戻せば・・・)

しかし、普通の方法では回復しないだろう・・・何故ならこの青年は、異世界から来た者。
・・・・僧侶はそのことを知っていた。

(・・・しょうがない、か・・・・・)

僧侶ははー、と冷や汗を流して溜息をついた。
そして、ためらいながらも
赤髪の青年の唇に、口付けをした。








真っ暗、だ。

(・・・俺、本当に死んじゃった?)

なわけないない!こんなん夢に決まってるって!
だって、現実にあんな超人っぽいのがいるはずないし。
そうと分かれば早く目ぇ覚まそ。


・・・・・美朱の、晩 御飯 つ  くっ   て   あ げ   ねぇ   と ・・・・


紅蓮は闇の中で再び眠りについた。

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