「カルラ・・・残念ながら、この子は・・・」

おい婆さん、出てきて早々残念扱いすんな・・!
アタシは、この状況を夢だと思い込むことにした。
だって、夢でもなきゃこんなの納得できるわけがない・・・今のアタシは、生まれたばかりの赤ん坊の姿になっていた・・・。
自分の身体の小ささ、出そうとしてもうまく出せない声、その声の幼稚さ。
ふわ、とアタシの身体がまた浮遊感に包まれる・・
今度は、はじめに見た婆さんじゃなくて、また別の女性がアタシの小さな身体を抱きしめる。

「・・・ごめんね。男の子に・・・産んであげられなくて・・」

とても、美人な人だった。
まだあまり状況が理解出来ないアタシに、その美人な人がゆっくりと語りかける。

「あなたの名前はね、カルマ・・・よ」

カルマ
そうアタシに言いながら、何故だか悲しそうな顔をする。

「・・・ああ、なんということだ・・・またも女子とは・・」

どっからかオッサンみたいな声が聞こえてきた。
五月蝿いな、またってなんだまたって・・・夢でも、これは赤ん坊の誕生の瞬間なんだろう?
どうして皆こんなにも気分が沈んでるって言うんだ?

「だが、生まれてしまったものは仕方がない・・・一尾は、この女子にいれてしまおう。それでよいな、カルラ殿?」
「・・!い、嫌・・!言ったでしょう、せめて人柱力は強い男の子に・・と!」
「しかし・・・!風影様が認めて下さるかどうか・・」

何だか、すごく不穏な空気が漂っている。
ああ、早く夢なら覚めてくれ!

「あの人には、私からきちんと言いますから・・!この子は、男の子として育てるわ・・!
それなら、まだ少しは平穏な暮らしが出来るから・・」
「カルラ!正気なのか!?」
「ええ」

複雑怪奇、
なんと言えばいいのだろう。
けれど、アタシを見つめる女の人が、ひどく悲しい顔をしていたからそれ以上何も考えられなかった・・・。


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