「アカデミーでもさ、傀儡の授業ってあんの?」

その日の自主練もこなし、傀儡をきちんと整備してからのこと。
まあ当然と言えば当然の疑問をエビゾウ爺とチヨ婆にぶつけてみた。

「無いのう」
「へー、そっかやっぱり・・・って、はあ!?」

てっきり、あると返答がくると思ったのに!
俺はチヨ婆の言葉に行く意味ねえじゃん!と反射的に返した・・・。

「一般的な子供に傀儡なんぞ扱える技量はないわ、言ったじゃろ?近頃は傀儡の操演者自体が少ないと・・お前みたいなタイプは珍しいんじゃよ。じゃから、正式な科目としては入っておらん」
「えー!何だそれ聞いてねえ・・!俺から傀儡とったらどうなんだよ・・!」
「アホウ、確かにお前は傀儡の才能はあるが問題はそれ以外じゃ。基礎的なことを同じ里で集団的に習うのも必要なことなんじゃぞ」
「いや、基本が大事だってのはわかってるじゃん・・!」

事実、体力とかは有り余ってるんだが・・忍術とかは本当に並程度で。

「そう傀儡ばかりにも頼っておれんじゃろ。例えば、任務を受けたとしてその先で傀儡が大破してしもうたらどうする?」
「うっ・・・」

・・・・傀儡以外の方法で対処しろってこと、だろ・・。
ああ、頭が痛くなる・・!
どうして忍ってそんなに化け物染みてるんだこの世界じゃあ!
かぎ縄とか、手裏剣とか遠くから投げあうシンプルなもんじゃないんだってわかってはいるけど!
傀儡に自信はすごいある、確かにある。
けど、周りの強さについていけるかってのも不安なんだよなあ。
・・・・俺、前世、就職難の"普通"の人間だったんだよな本当・・・。

(まあ、普通っちゃ今の外見も・・いや考えたくねえ)

地味。
・・・自分で言いたくはないけど、どこか迫力のない外見だ。
いやそこだけ普通でも困るんだけど、周りも普通からかけ離れていく世界だし、どうしたもんか・・!

「じゃが、せっかくの人材をつぶすのも惜しいということでな・・特別に傀儡実習の科目をねじ込んでおいたわ、感謝せい」
「え!!」
「ほっほ・・・童には高度だと頭の固い連中はやる前から諦めてしもうて本当しょうがないのう・・お前じゃなければ、こんな真似はせんかったこと覚えておきな」
「ま・・・マジ・・!サンキューチヨ婆!!」

その日一番、俺の目は輝いていたと思う瞬間だった。


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