もう、母さんが亡くなったあの日からかなりの時間が経ってしまった。
舌足らずだった俺の言葉も、きちんと発音出来るまでになったし、
ここしばらくでちょっと身長も伸び、声も少しはっきりしてくるようになった。

(・・・あの二人元気かなあ)

テマリと我愛羅には、すっかりご無沙汰の状態が続いていた。
・・当然、父さんにもほとんど会っていない。
里内の外出が堂々と出来るようになったのはいいが、母さんが亡くなってからはそんなことをする余裕もなく・・
ただただ、胸にぽっかりとあいた穴を時間で埋めることに没頭していたのかもしれない。

シュル、と指先から伸ばしたチャクラ糸が練習用の絡繰人形を宙に浮かす。
はじめは太かったこの糸も、練習するうちに少しずつ細くなっていって、
チヨ婆の"ほとんど見えない"状態の糸にするまではまだまだ遠いけれど。
それでも上手くなってきたと褒めてくれるチヨ婆の反応が嬉しくて。
あの時期だ、多分チヨ婆も気をつかってくれていたんだろうな、と今更ながらに心で礼を言った。

「・・しょっ、と!」

かしゃん
きりり、
俺にとってすっかり心地いい音となった、人形の関節の音。
どの指を動かせばどう動くか、この人形の扱いはもう十分にわかっている。
あとは実戦でどう活かせるか、なんだが・・・。

いつかは自分の傀儡人形で人を殺す日が来るんだろうな、
そんなことを思うと、少しだけ怖くなる。
アカデミーに通い、卒業するってことは・・忍に・・敵を殺す場に近づくって意味でもある。

「・・・マジ、ちょっと厳しいかもな・・」

けど、俺には姉弟が・・家族がいるんだ。
この世界でも一人じゃないって思える存在が。
覚悟きめて、入学するしかないんかねぇ・・・そんなことを思いながら仕込み絡繰から遊ぶように千本を放出した。
的のど真ん中に当たった様を見て、俺は大丈夫だ、と自己暗示しながら少し笑った。



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