「アカデミー?」
「そうじゃ、お前もそろそろの歳じゃと思ってな」

その日、チヨ婆から言われた言葉にぽかん、としながら渡された書類を手に文字列をざっと見てみる。
・・母さんが亡くなってから、しばらく経った日のことだ。

「・・・これって、通わなきゃダメな決まりなのか?」
「まあ、確かにお前には物足りないかもしれんの」

一目見て面倒くさそうだと判断されそうな表情で、文面を見つめる。
事実、まあ物足りなさそうだなとは思った。
チヨ婆からの実践修行、エビゾウ爺からの教え、
恵まれすぎてると感じる程に二人から与えられたものは結構レベルの高いものであって。
・・今更里の他の子供と一緒にされるのもなあ・・・。

「じゃが、卒業せんと額当てはもらえんぞ?」
「えっ・・・!」

チヨ婆のきらりと光る額当ては、弟子である俺自身の憧れの一つでもある。
一人前の忍と認められた人に与えられるもの・・だったっけか、
とにかく結構な証らしいのだ。

「まあ額当てがいらぬと言うなら・・」
「い、行く行く!アカデミーってやつきちんと通うじゃん!」

半ばはめられたような感覚で、入学を決意することになった昼下がりだった・・・。


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