「あんたが、かんくろう?で、こっちががあら?」

夜叉丸の部屋にいたのは、我愛羅だけではなかった。
これまた自分とは違う、金色の髪をはためかせる少女。
片手には、小さな扇子を持っていた。

「あたしはてまり!あんたらのねえちゃんだ、よくおぼえときな!」
「・・・・・・・・は!?」
「へんじははい!」

ぴっ、と何かを切るような音が耳元でする。
同時に、テマリと名乗った女の子が軽く振った扇子の先から鋭い風が吹く・・
わああと小さく叫んで、これはくらったらダメなやつだ!と判断しよける。
けれどちょっと遅い行動だったらしく、俺の頬には小さな切り傷が出来ていた・・。

「なっ、ななな・・・なにしやがん・・・!」
「ほっほ、テマリ姫か。大きくなったのう・・今のは風遁かね?」
「へへん!そうだ、あたしはしゅぎょうをしてるからな、このくらいかんたんさ!」

動揺する俺の傍、エビゾウ爺は懐かしむような様子でその女の子と話している。

「じじー、しりあいか?」
「知り合いも何もなあ、お前の姉ちゃんだぞ、カンクロウ」
「・・・・」

え。

「・・・さんきょうだい、だったの・・・?」
「ありゃ?話とらんかったかのう?」
「はなすもなにもはつみみだっつーのじじー!!」

そういえば、俺が生まれるとき「また女か」とか言われたような・・
今考えてみりゃ、またってことは前にも女が生まれたってことだよなうわあ俺の馬鹿。

「あんたのことはきいてるよ、おとこのくせにおにんぎょうあそびがすきなんだってな」
「なっ・・・!くぐつはただのにんぎょうじゃねえじゃん!そこらのおんなといっしょにすんな!」

・・・かっわいくない!
なんだこの強気な女の子、こいつが俺の姉ちゃんかよ・・・!

「ほれほれ、二人とも仲良くせんか。せっかくの姉弟じゃろう」
「「・・・ふん!」」

ぷい、とそっぽを向いてしまった二人にエビゾウも夜叉丸も苦笑した。

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