「はじめまして、カンクロウ様ですね?私は夜叉丸と言います」

弟の世話役を任されていると言ったその人は、
あまりにもあの人に似すぎていて。
一瞬、死んだなんてうそじゃなかろうかと疑ったくらいだ。
俺の視線に気付いたのか、夜叉丸と名乗ったその人は苦笑しながら言った・・。

「・・カルラ様は、他でもない私の姉・・・私は、カルラ様の弟ですから、驚かれるのも当然でしょう」

ぽかん、としていた思考が一気に引き戻される。
・・・ああ、自分は本当に世間から切り離されて育ったんだ。
里のことも、母さんの家族や自分の家族ですら俺はほとんど知らないのだから。

「・・・そのこが、」
「ええ・・・我愛羅様、といいます・・」

ガアラ
夜叉丸の腕に抱かれて眠っている、小さな男の子。
ガアラ、と言うのか。
親父似の俺とは違う、短めの赤い色をした髪の毛。
弟と呼ぶ存在は、今彼の腕の中でぐっすりと眠りについていた。

「・・おれも、にいちゃんかあ」

前世の記憶と、重なる。
年の離れた妹のことは、こちらの世界に来てからその顔を思い出せなくなってきた。
けれど、その存在だけはしっかりと心に刻み付けられている。
あの子の生まれ変わりだと思って、大切にしよう。
俺はそう誓った。



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