「人払いは既にしてある。お前達も席を外せ」
「「はっ」」

風影の傍にいた側近がすぐに消えた。
執務室に残るのは、風影とチヨの姿だけだ。

「・・・あれは、でかくなったな」

様子はどうだ、と聞く風影にため息交じりでチヨは返す。

「ああ、元気じゃよ。女とは思えんほど、お前さんに似てきおったわ。
何より・・・久しく見ていない逸材じゃ、人柱力にしておったら惜しい人材をなくすところじゃった。
まあ・・・賭けは、カルラの勝ちのようじゃ」
「・・・そうか」

たった一年でここまで育つとは、と零す。
彼女の人の才を見抜く目は間違っていなかったようだ。
もっとも・・それを伝えるべく彼女は既に亡き人となってしまったのが心苦しい。

「他愛もない話をするだけじゃなかろう?風影よ・・・」
「・・・ああ。次の満月、その日に・・我愛羅に守鶴を憑依させる。
適性は恐らくカンクロウ以上だろう・・」

どのみち、彼女は人柱力になるには適性が低かったということ。
カルラの言葉を聞き、長い間待ったかいがあったということにもなる・・。

「その時はチヨ、お前に指揮をとってもらう・・守鶴は相当暴れる奴でな」
「そんなこと身をもって知っとるわい!全て、いい方向に転ぶといいがのう・・」
「そうだな・・」

・・・かの子達には、重いものを背負わせてしまった。
風影長女としての重圧、本来の性別を隠し生きる運命の次女、そして人柱力となる長男。
彼女は、カルラは、そんなことを容赦なく子供に背負わせるこんな自分でも愛してくれた・・最後まで信じて。
ならば自分は、彼女が愛してくれた修羅のまま・・この里に鎮座し続けよう。


「次の満月に、予定通り人柱力の憑依の儀式を執行する」


どんな非道なこととて、彼女の死以上に辛いものはないのだから。

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