修行場以外の、久々すぎる外。
周囲を砂に覆われた里、巻き起こる風が熱を軽減させてくれる。
すたすたと先を行く使いの人の後姿に、
先程聞かされたことを思い出し、拒絶したくなる気持ちに襲われた。
「なぁ・・・じじー、かあさんはからだがよわかったのか?」
こっちの世界に産まれて来たのは、彼女のお陰でもあるのに。
その母さんは、弟を産んだと同時に死んだ・・・・と、使いの人は言った。
あまりにも突然のことで、涙すら浮かんでこない。
・・・ただ、認めたくないだけかもしれないけれど。
母さんはこんな俺を白状な娘とでも思うだろうか・・・。
「さあのう・・・ただ、お前の母様は命の全てを賭けてその子を産み落としたんじゃ。
それは事実だのう」
「・・・うん」
ジンチュウリキ、と言った。
俺の弟になる存在。
母さんの命と引き換えに生まれてきたその子を、
今度は俺が守る番なのだろう。
『ごめんね・・・私が、男の子に産んであげられたら・・・こんなことには・・・』
かつて母さんが"アタシ"を守ってくれたように。
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