「流石にちと早いんでねえか姉ちゃん」
「なーに、こいつ、意外と頭の成長は早い。早すぎて困ることなど無いじゃろ」
こいつ呼ばわりされた・・。
チヨ婆についていった先にはチヨ婆の弟さんがいた。
どうやらその弟さんの部屋、らしい・・これまた古典的なデザインの巻き物を広げながら弟さんは話し掛けてきた。
・・名前、今度聞いておこう・・。
「よいかカンクロウ、何事もまずは知識を付けなくてはならぬ」
「うん」
「お前は言葉は分かるが、文字の読み書きはまだ出来まい」
「・・うん」
確かに、言葉こそ理解は出来るが、
この世界の文字はまだ見たことがない・・漢字だらけとかだったら嫌だな・・。
「そろそろお前も興味を持ちはじめる年頃じゃろ。こんなに成長が早いのはお前くらいしかおらなんだ。
これから分からんことがあったら何でも、このエビゾウに聞くがよい」
「姉ちゃんはいつも押し付けるのう」
あ、名前エビゾウって言うんだ。
じゃあエビゾウ爺だな。
「まあそう言うな、こいつは時間が無いと焦っておるからの」
・・・普通に考えたら一歳の子が話して歩くとかこわいよな、とこの状況の中思った。
忍者ってこのくらいの成長が当たり前なのか・・?
少し伸びた髪をいじりながら、俺は言った。
「じゃ、べんきょうはえびぞうじじーがおしえてくれんのか?」
「・・先に態度直した方がええんじゃねえか姉ちゃん」
真っ先に言われた言葉がこれだった・・。
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