「こりゃ!勝手に歩き回るなカンクロウ!」
「うっせー、ばばー」
「ったく!どこでそんな言葉覚えてきたんじゃ!」

この一間年死に物狂いで頑張った、
精神的にも肉体的にも。
元々大人だったから、身体の動かし方も声の出し方も、
一つずつ勘を取り戻せば用意に出来ること。
一歳で、アタシは・・・カンクロウは、早くも歩けるし話せるようになっていた。
自分の意見を伝えられないんじゃ何も始まらないから、
せめて言葉くらいは話せるようにしたいと思って早一年。
今のアタシは、母さんや父さんとは離れた場所での生活を余儀なくされていた。

「だって、おれはやくいろんなことしないと、ジンチュウリキになっちゃうじゃん?」

父さんは、アタシ・・・じゃなかった。
今は俺を保護する為に、とあの時俺の出産に立ち会っていた婆さんの家に暮らすことになっていたのだ。
チヨ婆、と言う名の婆さんの家で人知れず育っていた。

「なにすりゃいいかわかんないじゃん。うごきまわってないとおちつかない」
「お前の言い分も分かるがのう・・・万が一里の外に出て女だとバレてしまったらどうするつもりじゃ・・」
「・・・・わかんねえ」

だって、本当に何をしたらいいのか分からないのだ。
いい忍者になれば、俺はジンチュウリキとやらにならずにすむらしい。
けれど、どうやって?
忍者といったら、壁走ったり手裏剣投げたり・・・俺からすれば大道芸のオンパレードだ。
そんなものに、どうやってなればいいのかひたすら迷走する時期。
悩む俺の様子を見てか、チヨ婆はため息しながら話し出した。

「しょうがないのう、ちょっとついて来い」

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