「おっせー!」

無事にアカデミーを卒業して、今日ようやく俺達の班も決まったと言うのに!
地団太を踏んでいた。
教室に来る筈の担当上忍がまだ来ない、短気な俺からしたら我慢出来ない遅れだった。

「うっせぇぞロウゼキ・・・」
「だって遅ぇのは事実じゃねーか!何で俺達の班だけこんなに担当上忍が遅れてんだよ!」

俺の名を呼んだのは同じ班になった奴。
・・・名前が分からないのは俺が忘れたからだ。
元々他人にはあまり興味なんて無いし、どうせすぐ忘れちまう。

「よいせっと」

俺はアカデミーのかったるい授業が嫌いだった。
この前の試験で分身の術を見事にやってのけた俺・・正直、実戦にしか向いてないと思うから。
何より、これから忍として強くなっていく為にどんどん修行して色んな奴らと戦って・・
そう思ってたのに、何だか出鼻をくじかれた気分じゃねえか!
ぷんぷんと怒りながらロウゼキは椅子を教室のドア付近まで持っていき、
そして黒板にあった黒板消しをその上に乗って設置し、やり遂げたような顔でこちらに戻ってきた。

「ちょ・・ちょっとロウゼキ・・大丈夫なのそんなことして・・!」
「へん!上忍のくせに遅れてくる方が悪いんだよ!これくらいしても罰はあたんねぇ」
「まぁ確かにな。・・・・・・一時間はここにいるもんな俺達・・・」

はぁ、と俺と、俺とチームメイトになったその男とくのいちのため息が混ざり合う。

「・・・というより、こんなトラップにかかるような上忍が木ノ葉にいんのかねぇ」

そいつがそう言ってから、確かに・・・とも思ったが。
その数分後、俺達はまさにそれを目撃することになる。

ぱたぱたぱた・・・

誰かが廊下を走る音、だんだんとこちらに近づいてきているような気がする・・・。



「すまねぇ!任務に手間取って遅れちまった!」



ガラッ!
いきなり開いた教室のドア、くのいちがあっ、と声をあげた。
ぽすっ・・・
なんとも間抜けな音を立てて黒板消しはその人の頭の上に落ちた・・・。

(え、もしかして・・・・)

こいつが、俺達の担当・・・?

「・・・・おいい、誰だこんな下らねえ真似事した奴は・・・」

少し低くなった声に三人がびくっとしながら、
俺以外の二人は素早く俺に指をさした。

「あっ、おめえらずるっ・・・!!」


ごちん!


「〜〜ってぇえええ〜〜・・!!いきなり何しやがんだ馬鹿上忍っ!」

初対面でいきなりげんこつをくらった俺は当然の如く怒ってその上忍を見上げた。
同時に、は・・・・と言葉も動きも止まる・・・。
額と頬についた傷、上で一つに縛った髪、少しけだるげなその目。

(び・・・・美人だぁ・・・・・・)

そう、ぽー・・・と見惚れてしまっていたのだ。
すごく綺麗だった。
声質から考えるに男であることは間違いないのに、不覚にも綺麗だと思ってしまったのだ・・・。

「目上の人には敬語ってもんを使うんだぜ、今年度超問題児野郎」

意地悪く笑うその表情にすっかり俺の目はくぎ付けになっていた。




あんたと出会った!





(やばい、俺、惚れたわ)




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