チラリと時間を確認する。もうまもなく、彼は帰ってくるだろう。
「だから、そもそもね、ここにメロンがあるのが悪いと思うんだ」
明るい車内の窓から見える、対照的に暗い外。点々と輝く灯りを目で追ってみる。
我が腕に宿りし力、貴様にも分けてやろう。
ポニーテールを揺らし少女はニコリ。「僕は止めた方がいいよ、おじさん」
コタツにみかん、そばにはテレビ。暖房もそこそこ効いた小さなその部屋に、僕と幼なじみはいた。
「君ってさ、本当、強情だよね」人気のなくなった放課後の教室で、雪野が携帯をいじりながらつぶやいた。
「そー言えばさー、今日って七夕だねー」
めいっぱい見開いた目で、下から傘を見つめる。傘に降り積もる、雪を見つめる。