もしや君に気付かれただろうか。
後ろを思わず確認するが、見知らぬ人が行き交うのみ。
既に日が傾いた街は橙色の空気に満ちている。
ぐっと上着の前を手であわせた。
吹く風がはらむ少しの冷気が、秋の終わりを感じさせる。
(夕方って言うには、まだ早いのになあ)
がたがたと震えるほどではない、かといって暖かいには程遠い。
やはり着実に、季節は交代しつつあるのだ。
(――って、考えてる場合じゃなかった)
手で上着を握ったまま、再び歩き出す。
クリスマスのちょうど一ヶ月前、君の誕生日に渡すプレゼントを買うために。
るんと跳ねる気持ちを上着でつつみ、目当ての店へと急いだ。
【end】
あいうえお作文
お題:もうすぐふゆがやってくる