玄関を開けると、トントンとリズム良い包丁の音と、食欲をそそる良い匂いがした。夕食の準備をしているのだろうということは容易に分かったが、一体誰が作っているんだ。

「早く進め」
「ミザエルさん、料理っていつも誰が作ってるんですか?」
「ギラグだ」
「マジか」

あの身体が一番大きくて怖そうな人が作ってるの?てか包丁持たせて大丈夫なのか、襲ってきそうだぞ。
だいぶ失礼なことを思いながらキッチンを覗けば、エプロンをした大男が料理をしていた。怖いよ!
私の存在に気付いたのか、いきなり振り向いたので小さく叫んでしまった。

「おかえり、○○ちゃん!」
「え、あ…ただいま」
「お腹空いただろ、もう少しで出来るから待っててくれ」
「ギ、ギラグ…さん」
「呼び捨てでいいぞ。これからは家族なんだからよ!」

ヤバい、涙が……。
私がボロボロと泣き始めたので、ギラグは慌てて駆け寄ってきた。その際、足をテーブルにぶつけて大きな音を立ててしまい、家に居たベクターとミザエルさんも集まってきた。
泣いている私を見て、ギラグを責める二人に弁解しようとしたが、嗚咽しか出てこない。
もう、ギラグがお母さん過ぎるからいけないんだ…っ!

130603



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