シリアスなんてくそ食らえだ! 01
一時の静寂が円達を包む。
「父様は……」
円が囁くような声で切り出した。
「父様は……お役人が雇った殺し屋に暗殺された」
「っ!?」
山崎、そして土方、沖田、近藤も身を強ばらせる。銀時達は怪訝そうな表情を見せた。
「なっ、どういうこと……!?」
山崎が円に詰め寄る。
「オイオイ おめーの父親は地方の役人で結構なお偉いさんだと聞いたが」
土方が口にくわえた煙草に火を着けながら言った。
「そーなんですかィ?」
沖田が土方の言葉に、意外そうな声を漏らす。
「はい、そうです。なのに何で……」
「父様は長い間、ずっと幕府を裏切って、その……鬼兵隊に属していたんです」
「!!」
空気が凍る。
最後の方は口元まで耳を近付けないと聞き取れないほどの声だったが、誰一人が物音を立てずに耳を傾けていたのでしっかりと各々の耳に入った。
この言葉には、鬼兵隊と直接刄を交わした経験のある銀時達も目を見開く。
「――っ嘘だ!」
そんな空気の中、山崎が悲痛な声を上げた。
「……笑えねェ冗談はよくないですぜ」
続いて沖田が引きつった笑顔を見せた。
「そんなわけ……」
円は下を向いたまま、首を振った。山崎が絶望的な目を向ける。
「私も奨もずっと知らなかった……。父様は最初から、鬼兵隊の仕事として潜伏してたって、同僚の人が……」
「……どうやら冗談じゃないようですねィ」
沖田が呟いたことによって、真実という残酷な重しが山崎達により重くのしかかった。
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