俺のかかった病の原因は?

▽山本視点


自分は別に性行為に興味なんてなかった。そう、過去形。女子なんてみんな同じように見えていたというより、同じにしか見えなかった。だからクラスメイトからどんな女好みかと尋ねられても答えが見つからなくていつも誤魔化していた。
好きな女子なんて俺にはできないんじゃないかとも思ったことがあった。ただ野球ができればそれでいいなんて、ハルに出会うまでは考えていた。だから、正直こんなにムラムラするとは思わなかったんだ。
好きな女の子、つまりハルの足とか項とか見ていると触りたいとか噛み付きたいとか淫らな考えが頭の中でちらつく。そんな自分が嫌で思い切り首を振って、そんな考えを消し去ろうとしてみるけどそんなこと無駄で。

「俺、駄目かもしれないな」
「どうしたんですか?山本さん最近元気ないです。具合でも、悪いんですか?」

こんな淫らなこと考えている俺の心配をしてくれるハルに申し訳ない気分になる。でも心配そうな表情で顔を覗いてくるハルは可愛くて、ついその額に唇をつけてしまう。その瞬間ハルの顔は真っ赤なりんごのように染まって。ああ、やっぱり可愛いなんて思う俺は重症なんだろうなと心で笑いながら思う。

「確かに具合、悪いかもな」
「そ、それじゃあ早く病院に行きましょう!ハルもついていきます!」
「いや、大丈夫だ。俺、ハル中毒みたいだからハルが抱きしめてくれれば治る」
「は、ひ…?!や、山本、さ、ん?」

腕をしっかりつかみそう言ってみたらハルは大きな目を開いて、オレを見る。驚いたような表情をしたあと顔がどんどん赤くなっていき耳まで赤く染まった。口をぱくぱくと金魚のように動かすハルが面白くて、つい吹き出す。ハルはひどいです、なんて言ってそっぽを向く。拗ねたハルは頬をぷうと膨らませている。それがまた可愛くて。

「ほんとハル可愛いな。俺、ハル大好きだ」


俺のかかった病の原因は?
(なあ、ハルお前だよ)


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