ハロウィン晩餐会

▽グレイ視点


甘ったるい菓子なんかより、よっぽど美味そうなにおいを漂わすこいつを目の前にして、何もせずにいるほど俺はヘタレじゃねえし、我慢強くもねえ。それくらいルーシィだって理解しているはずだってのに、色気ムンムンの魔女の格好をしたルーシィはにこにこと笑いながら俺の前に現れた。「trick or treat」なんて口にしているが俺が菓子なんか持っていないことだって十分承知のはず。ってことはこれは、誘ってやがんのか?いくら鈍感なルーシィでも無自覚でこんなことはしねえ。これは間違いなく、ベッドへのお誘いだ。珍しく積極的なルーシィの期待に応えてやろうじゃねえか。

「ルーシィ、口あけろ」
「え?飴でもくれるの?」

俺の言葉に間抜けな勘違いをしたルーシィが、艶やかな唇をそっと開いて歯を覗かせた。食欲がわく、それに似たような感覚が俺を襲う。

「…うまそう」
「なにが、」

つい口からこぼれた言葉にルーシィが反応するが、すべて言い終える前に俺はルーシィの唇を塞いだ。いろんな角度から何度もルーシィの唇を塞いで、吐息を絡ませる。息苦しそうに時折喘ぎ声を漏らすルーシィは、俺の欲望をかき乱していく。俺の理性はもう無いに等しく、その残り少ない理性さえぐらぐらと不安定に揺れている。ああ、もうそろそろ限界だ。
俺はゆっくりとルーシィをベッドに横たわらせて魔女コスをしたルーシィの胸元に手を置く。何の抵抗もしないということは、つまり。GOサインがでたってことで。内心ガッツポーズをしながら俺はルーシィの服を脱がそうと胸元のリボンに手をかけた。
その瞬間、

「何すんのよ!!」
「、いって…!」
「ばかばかばか!グレイのエッチー!」
「なっ、」

今のは完全にGOサイン出てただろ!嫌ならもっと早くに抵抗しろよ。俺の下半身はもう準備万端だったってのに。まじでこいつなんなんだよ。鬼か、それとも悪魔か。ここまで焦らしておいて、今更無理とか…くそ。
俺の落ち込みぶりを哀れに思ったのかルーシィは必死で「次は大丈夫だから!ね?」なんて口にしている。だが一度ムードがぶち壊されたら中々その気にはなれない。俺の下半身はだいぶ萎えているし。あーあ、くそ。まじでこいつ何がしたいんだよ。

「…ごめんね、グレイ。でも次は頑張るから…ダメ?」
「……っ」

前言撤回。萎えるどころか完全復活。潤んだ瞳で上目遣いされたら、落ちない男はいないだろ。

「んじゃ仕切り直しといくか」

驚く程の切り替えの速さに自分でも呆れるが今はそんなことはどうでもいい。可愛くおねだりしてきたルーシィをどう食してやろうか。
今はただそれだけを考えて、目の前のごちそうに俺はありついた。


ハロウィン晩餐会

−−−−−−
2012年『ハロウィン企画』
りあ様へ


BACKNEXT





×
- ナノ -