いつかまた会おうね

▽無双OROCHI2:悟空×三蔵法師
(三蔵法師視点)


まるですり抜けるようにして私の腕の中からいなくなった。

「悟空…さびしいよ…」

どれだけ涙を流しても悟空が会いにきてくれることは一度もなかった。何度も仙界を抜け出して悟空に会いに行こうと考えた。けどその度にいろんな人に止められて、諭された。もう絶対に会えない、分かっていた。分かっていたけど、それでも私は会いたかった。だから私は静かに仙界から人界に降り立った。
仙界とはまるで違う空気。鼻につく戦の後の生温い血の匂い。とても長い時間いることなんて無理そうだというぐらい、きつい匂いは少しずつ私の精神面を破壊していった。ああもう何しにきたんだろう私。悟空に会いたかっただけなのに、どうして、こんなところにいるんだろう。

「悟空のばか…」
「…誰が馬鹿っすか?」
「っ!」

嘘。悟空が目の前にいる。あのときと何一つ変わらない悟空が、私の目の前にいる。困ったような笑顔はとても優しくて、私を包み込んでくれる。血生臭い戦場にいることも忘れ私は悟空に抱きついた。悟空はそっと私の背中に手を回して優しく撫でてくれる。ああ、悟空会いたかった。私は貴方に会うためだけに人界に降りてきたの。知らないでしょ?私がどれほど貴方に会いたかったのか。貴方はきっと、私がいなくても平気だったよね。何だか少しさびしいよ。
でも、会えただけでも私は十分幸せなんだよ?悟空。

「…どうして、戻ってきてくれなかったの?」
「すんませんお師匠様…今は俺は、清盛のおっさんのために生きているんです」
「…それは、知ってる。悟空の意思を私は知りたいの。…本当はどうしたいと思っているか聞かせて」

悟空をまっすぐ見つめた。悟空もまっすぐ私を見つめる。たくさん悩みながら言葉を捜しているらしい悟空は、困ったような表情を浮かべている。それでも悟空は本当の気持ちを伝えようとしてくれた。

「本当は、お師匠様のそばにいたい。でも、今はどうしても駄目だ…」

…わかってたよ悟空。貴方は義理堅い性格だから、一度助けてくれた人のために尽くそうとすることぐらいはそばにいたから分かる。お調子者のくせに義理堅いところがある貴方が私は大好きだった。今でも、大好き。けど、貴方は今は私のそばにはいない。いられないんだよね。辛いよ、苦しいよ。

「…お師匠様傷つけてすんません。けどおれさまお師匠様のこと、いつでも思ってるから―」
「え?」

悟空の胸に埋めていた顔を思い切りあげれば、そこにはやさしい表情の、はにかんでいる悟空がいた。見たことないぐらいやさしい表情の悟空にうれしくなって、気づけば頬を温かいものが伝っていた。悟空は慌てて私の涙を指でぬぐってくれる。もう本当に何でこんなに優しいんだろう。これ以上私の気持ちを奪わないで。そばにいられないのならこれ以上優しくしないで欲しい。

「悟空のばか」
「それ2回目じゃないですか」
「…早く帰ってこないと浮気しちゃうんだからね」
「それ困りますよお師匠様!…こりゃ早く帰らないと」

おどけたように言った悟空はいつもの表情に戻っていた。悟空、約束だからね。絶対早く戻ってきて、私に顔を見せてね。そんなに長くは待てないんだから。


いつかまた会おうね

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無双シリーズは萌えなCPがたくさんあるので困ります。幸せな悩みなんですけどね!悟三の陣地会話とても可愛くて毎度毎度萌えさせて頂いております。


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