滑り落ちた手は冷たかった

▽Ib:ギャリー×イヴ
(死ネタ/ギャリー視点)


イヴが笑えば、アタシも嬉しくなる。イヴが泣けば、アタシも悲しくなる。
思えばイヴに出会った時から、アタシの世界はイヴ中心に回っていたのかもしれない。全てイヴを最優先に考えて、イヴと二人で脱出することを目標としながらも、心の中ではもし仮に自分が助からなくてもイヴさえ助かればと思っていた。アタシが犠牲になるだけでイヴが助かるならそれでいいと。けれどイヴはアタシのそんな考えとっくに見抜いていたのかもしれない。いざとなったときアタシがイヴをかばって死ぬんじゃないかと。

***

「ギャリー、私は大丈夫だよ。だから泣かないで?」

アタシよりも一回り以上幼い子供のくせに、涙一つ見せないで笑って。小さな体でアタシを抱きしめてそう優しくささやく。なんて大人っぽい子供なのかしら、そう思ってた。けど本当は怖くて怖くてたまらなくて、泣きたいのを必死に我慢していただけ。何でもっと早く気づかなかったのかしら。こんなに辛そうな笑顔、いつからしていた?最初から?

「イ、ヴ…アンタこそ、笑ってんじゃないわよ…辛いなら泣きなさいよ!」
「…ふふ、辛くなんか、ないよ…?だってギャリーの腕の中で死ねるだもん」

そう言って笑ったイヴは恐ろしい程に綺麗だった。

ああ、ごめんなさいイヴ。もう少しアンタのことを気にして見ていればよかったわね。そうすれば何か変わっていたかもしれないのに。今更そんなこと言っても意味ないことは分かってるわ。でもあと一つだけ言いたいの。ねえ、イヴ。アタシ、好きだったわアンタのこと。可愛い笑い声も、優しい笑顔も、きれいな黒髪も、全部愛しかった。年の差なんて気にする余裕がないほど、アンタに夢中だった。でも、もう遅いわね。何もかも。イヴ、好きだったわ。そう告げそうになる口を必死に閉じてイヴを見つめればアタシの手からイヴの手が滑り落ちる。ああ、いよいよだわ。妙に落ち着いている自分に驚く。

「ギャリー、ばいばい」

最後まで綺麗に笑ってイヴはそう口にした。アタシは二度と開かれることのないその唇にそっと唇を重ねた。イヴのやわらかくて潤いのある唇は甘かった。


滑り落ちた手は冷たかった

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巷で噂のギャリイヴでした。私も実況プレイ動画で拝見させて頂きましたがギャリーイケメンすぎですね!あんなにイケメンなのにオネエとかずるい!好き!


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