ああ、君の笑顔に眩暈がするよ

▽雲雀視点


馬鹿みたいに嬉しそうに笑う三浦を愛しく思っていることに気づいたのはつい最近のことだ。どんな些細なことにも思い切り笑っている三浦から目が離せない。
最初はその笑顔が信じられなかった。偽物にしか思えなかった。けれどだんだんと距離が近づき、たくさん話す様になってその笑顔が本物だと知ったとき、僕は惹かれた。偽りのないその笑顔をもっと見せて欲しいと思うようになった。

「三浦、これあげるよ」
「わあケーキですね!!ハル大好きなんです!」
「うん知ってる」

笑顔が見たいからわざわざケーキを買ってきた。…僕らしくない。でも笑顔の三浦が見れたから満足、なんて更に僕らしくない。
最近では三浦の一挙一動に反応する体になってしまった。迷惑な話だ、なんて言ってはみるが別に三浦が悪いわけではなく三浦に惹かれた僕が悪い。けど三浦に惹かれる自分に未だに納得が出来ない。あんなトロい女のどこがいいんだ、と自分に尋ねてみるが答えが出るはずもなく。

「…ハァ」

考え疲れて一つ小さくため息をつけば三浦が「雲雀さん疲れたときには甘いものですよ!」なんて言って小さく切ったケーキが刺さったフォークを僕の口元に寄せてくる。しかも飛び切りの笑顔で。こんなに悩んでいるのは誰のせいだと思っているんだ、なんて八つ当たりがしたくなった。

「いらない。三浦が全部食べて」
「そうですか?じゃあ頂きます!!」

そう言って三浦はまた満面の笑みを浮かべてケーキを頬張った。本当においしそうに食べるよね三浦は、って言ったらありがとうございます、と笑って言った。そんなたいした褒め言葉じゃなかったはずなんだけど。そんな僕の言葉はもう三浦の耳には入っていないみたいで、ケーキを嬉しそうに頬張っている。三浦は食べているときも笑顔だ。

その笑顔は僕が見たかった笑顔で、何故か僕まで笑顔にさせられた。


ああ、君の笑顔に眩暈がするよ
title by 霞む想い出


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