▽日向視点

ハロウィンだからとコスプレをするカントクを目の前にして、理性なんか保てるはずがなかった。

猫耳と猫のしっぽまで用意していたらしいカントク。かなり本格的なコスプレで現れたカントクを見た瞬間、あまりの衝撃に相棒であるオレの眼鏡が割れるのではないかと思ったほどだ。これは…頂いてもいいのだろうか。
ちなみに場所はオレの部屋。二人だけでパーティをしようというカントクの提案でオレの部屋で開かれることになったわけだが。

「カントク、スカート短すぎねえか?」
「あらそう?制服もこんなもんじゃない」

言われてみればたしかにそうだが、制服とはまた違い、何だかすげええろい。猫のしっぽが上に向いてるせいでスカートがめくれ、時折下着が見えたりするため目のやり場に困る。と言いつつもちゃっかり下着を見てしまうのが男の性ってもんで。
カントクはそんなオレにも気づかず突然立ち上がりクルリと一回転してみせる。そのときもスカートがふわりと揺れて白のレースがついた可愛らしい下着が顔を覗かせる。

(この下着この間もはいてたな…)

何て考えていると、はしゃいでいたカントクが突然ムッとした表情を浮かべる。

「カントク?」
「日向君もコスプレしなさい!折角のハロウィンなんだから!」

いきなりそんなことを言われても困る。コスプレ衣装なんて持ってないし、着たくもない。オレは別にと断るがカントクがそれでよしとするはずもなく。カントクが持ってきたらしい袋を部屋の隅から持ってくるとオレの目の前に差し出してきた。

「はい…?」

中身を恐る恐る確認すれば、カントクとお揃いの猫耳カチューシャ。男がつけても可愛くもなんともないコスプレグッズ、寧ろ気持ち悪がられるだろ。一体、誰得だ。オレがして誰が喜ぶんだよ。
そんなオレの心の言葉を読まれたのか「私が嬉しいから問題ないわ」と笑われた。そんな風に可愛く笑われたら従うしかない。オレは嫌々頭にカチューシャを持ってきて、そこでまたしばらく考えたが意を決して装着した。するとカントクはおかしそうに笑う。

「にゃんこ日向君登場ー!可愛い!!」

頭を撫でながらそんなことを言われた。いやいや、カントクの方が可愛いっつーんだよくそ。ずっと頭を撫でてくるカントクを引き寄せて膝の上に座らせる。真正面から見るカントクの顔は驚くほど真っ赤になっている。何すんのよ、といつものカントクからは想像できないほど小さな声でそう呟く。

「カントクは何して欲しい?」

ニヤリと口角を上げながら尋ねると「イタズラ…」なんて可愛い声で甘えてくる。夢か、これは。ちょっとした冗談のつもりで聞いたのにカントクは予想外の返答をオレにくれた。こんなに都合のいい展開があっていいのか。いや、でもこれはチャンスだ。カントク自らイタズラを希望してくれたんだ。オレが何してもカントクは文句を言えない。
オレは楽しくてたまらず頬がニヤけそうになるのを必死で抑えながら、まずカントクの太ももにゆっくり手を這わしてみる。すると想像通りの可愛くて、いやらしい声を漏らす。耳のすぐそばで響く甘い声、そして時折切なげに漏れる吐息が耳元を掠める。すげえ興奮する。
あーあ。最後まではしないように我慢するつもりでいたが、どうやら無理そうだ。

(えろい顔してオレを誘うカントクが悪いんだからな)

瞳をとろんとさせオレに体を預けるカントクを見ながらそう心の中で呟いた。


お菓子がわりに君をぺろりと味見

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2012年『ハロウィン企画』
ゆんちょ様へ


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