▽リコ視点

光り続けたそれは、急速に光を失って、消えた。あんなにまぶしい存在だったのに今では全くまぶしさを感じられない。まるで必死に光ろうとして点滅を繰り返す蛍光灯のようだと思った。

「自分を見失ってるんだわ、きっと」
「何、言ってるんスか、」

私が言った言葉に動揺を隠せないのか一瞬だけ強い光を放つ瞳が揺らいだ気がした。今彼は試合をした相手に負けたことによって自分を見失っている。どうしたらいいのか分からずに苦しんでいる、けど自分ではそれに気づいていない。けれどそれは他人にはどうしようもできないことだから、私も口出しはできない。こればかりは彼自身がどうにかして見失った自分を見つけるしか方法はないのだ。

「支えにはなるつもりよ。辛いときには辛いって言えば受け止めるから、ね?」
「言ってる意味が分からないんスけど」
「いいのよ、別に無理して分かろうとしなくて。ただ私がそうしたいだけだから」

こんなに苦しそうに喋る彼をほっとくなんてできないから、だから、せめて。傍で支えになることぐらいは許してほしい。見失った自分を見つけることは難しいようで、そんなには難しくないはず。だったらその見つける手伝いを私はしたいと思う。彼が乗り越えようとしている一つの壁はもう、すぐそこまできている。

さあ、探しましょう。あなたが見失った自分自身を。


光がひとつ消えた


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