▽リコ視点

間接キスくらいで照れないでよ、なんて言ってる私も顔が熱かった。思わず、頬を押さえれば彼ははにかんだ。そのはにかんだ顔は可愛くて、つい見惚れてしまった。黄瀬君は綺麗な顔で私をまっすぐに見つめてくる。私は目を逸らすことができずに、黄瀬君の方を見た。綺麗な色をしていて、形の整った唇が目に入る。

―私、この唇と…か、間接キス、したのよね…。

なんてのんきに思いながら、ついつい見てしまう黄瀬君の唇。本当に整っているその唇はとてもおいしそうで、つい見すぎてしまったことにも気づかなかった。

「リコさん…?間接キスのこと気にしてるんスか?」
「そ、そんなわけないでしょう。何いっているのかしら黄瀬君」

本当は黄瀬君の言うとおりだけど、それを認めるのは悔しくて私は嘘をついた。
けれど、彼にはそんな嘘は分かりきっているようで、ふわりと優しい笑みを浮かべたあと顔を近づけてきて、そのまま私の唇を奪って行った。

「素直じゃないリコさんも、大好きっスよ」


つまりはどんな君も可愛い


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