恋次は自分でもよく分からなかった。織姫に対して持っていた感情がいつからか友人に対するものではなくなったことが。一護に想いを寄せる織姫を応援していたはずだったのに、いつの間にか「俺にだけ笑顔を見せてほしい」「俺だけのものにしたい」などと考えるようになっていた。けれど織姫の気持ちを考えたらそんなこと言えるわけがない。恋次は必死で思いを隠して、織姫に優しく接した。どんなに辛くても、織姫の幸せを一番に考えていたからだ。いつも「今日ね黒崎くんが…」そう言って始まる会話。今日も一護の話を聞かされるのかと恋次はボーッとしながらふと思った。しかし織姫の様子はいつもと違い、一護の話をいつまでたっても始めない。恋次は不思議に思い織姫の顔を覗くと泣いていた。

「お、おい井上…。どうしたんだ?一護と何かあったのか?」

恋次の言葉の中にあった『一護』という単語に織姫はビクッと体を揺らして、反応する。そしてぽつりと小さい声で話し始めた。

「あの、ね別に黒埼君は、悪くないの。私がただ朽木さんと一緒にいる黒崎君を、見るのが辛くなっちゃって…。嫉妬なんて…醜いよ、ね」
「井上…」

必死で涙をこらえながらそう言う織姫に恋次は胸をぎゅと締め付けられた。『自分だったらこんな顔させないのに』とか『自分だったら幸せにしてやれるのに』とか、そんな言葉が口から出そうになる。今言ったら弱みにつけこむようで嫌だった。でも、思いは溢れ出し、言葉になる。

―俺じゃ駄目なのか?

その瞬間織姫は涙をためたままの瞳に恋次を映した。泣き顔もきれいだな、なんてのん気に考えながら恋次は織姫を見つめた。織姫はどう反応していいか分からなくて、ただ見つめた。そんな織姫を恋次はやさしく抱きしめる。

「そんな顔すんな。困らせたいわけじゃねえ。でも、できればでいいんだが俺のことも考えてほしい」
「…うん、ごめんね」

恋次の温かい腕の中で織姫はまた小さく泣いた。恋次は織姫が泣き止むまで抱きしめていてくれた。

***

それからというもの恋次は何かと積極的になった。織姫に会いに学校にまで来て一緒に昼食を食べたり、一緒に下校したりときには寄り道したり。でも織姫にはそれが心地よくて、つい甘えてしまう。少しずつ恋次の優しさに惹かれていった。

そして恋次に恋心を抱いていることに気づいたある日、恋次とうまく話すことができなくなった。恋次の顔を見るだけで顔が熱くなり、上手く言葉が出てこない。織姫は自分の胸を抑えながら深呼吸を繰り返してみるが、効果が得られない。むむむと唇を尖らせる織姫を見て首を傾げながら恋次は話しかける。

「井上どうしたんだ?さっきから唇を尖らして」
「あ、こここれはね!そ、そのアレだよ。えーっとえーっと…」
「ちょ、落ち着けって」

そう言って織姫の背中をぽんぽんと叩く恋次。恋次に触られた瞬間顔がさきほどよりも熱くなり、つい勢いをつけて立ち上がる織姫。恋次は目を丸くして驚く。織姫はあっと声を出して、恋次を見る。恋次は触られるのが嫌だったのか、というような表情をしたので織姫は慌てて違うよと否定した。

「恋次君に触られるの嫌じゃないよ。寧ろ、嬉しいの。でも、その、恥ずかしくて…」
「井上、それって…。俺が好き、ってことか?」
「う、ん…。恋次君が好き、です」

恋次は我慢できずに抱きしめる。強く強く抱きしめた。織姫が苦しいよと言うが恋次は嬉しくてそんなのお構いなし。でも織姫も幸せそうに微笑む。恋次は織姫の唇に己の唇を重ねた。触れるだけのキスだったが二度目のキスはさきほどよりも長く、甘いものだった。唇を離したあと二人で笑った。恋次はそのまま織姫の制服に手をかける。織姫は驚き抵抗しようとするが、恋次に両方の腕を上に持ち上げられ壁に押し付けられ掴まれてしまった。前はがら空きで、恋次はにやりと笑いながらボタンをひとつひとつ外していく。そして豊満なバストが露になる。ブラのホックを外して、その突起に口付ける。

「んぅ…恋、次君…。ここ、屋上だ、よ?」
「問題ねえよ。扉の裏側で死角になってるからな」

そう言って続きを始める。突起をぺろりと舐め優しく噛む。織姫はあまりの快感に目を潤ませ喘ぐ。恋次はその顔を見てそそる顔してるな、なんて思いながら胸への愛撫を続ける。そのうちに織姫は体の力が抜け、目がとろんとしてきた。恋次はそれを確認すると掴んでいた両腕を開放し、その掴んでいた方の手を下半身に伸ばす。下着の上から軽くこすりあげると織姫は甘い声を出す。それが嬉しくてもっと激しくこする恋次。織姫は頬を染めて、掠れた吐息を漏らす。それが色っぽくて恋次はもっと欲情する。

「井上、もう我慢できねえんだけど…いいか?」
「う、ん。きて…」

恋次は痛くはしねえからと優しく微笑んだ。織姫はその笑顔を見たら何だかほっとした。幸せそうに微笑み、大好きと言って恋次の頬にキスをする。恋次はこんなに幸せでいいのか、と思いながら織姫に仕返しと言って唇にキスをした。


死角であいしてあげる


BACKNEXT


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -