真夏。いくら薄いTシャツでも汗をかいてしまう季節。ともすれば、自然と服も薄着になる。しえみも例外ではなく、いつも着ていた着物から制服に変わっていた。そして、制服姿のしえみを嬉しそうに見つめる男がいた。

「杜山さんかわええわー。着物もかわええけど、制服もええな。なあなあ坊もそう思いますやろ?」
「俺に話を振るな!」
「やってー、俺一人で盛り上がってもおもろないですもん」
「知らんわ!」

冷たく突き放され、志摩は頬を膨らませ「志摩拗ねちゃうぞ」と言うと「うざいきもい」と一刀両断された。そしてとどめの一言「死ね」を、話を盗み聞きしていたらしい燐に言われた。ひどいひどすぎる、そして泣きまねをすると今度は出雲から「うざい」という言葉のプレゼント。「ああもう俺の味方は誰もおらんのやー。」なんて言えば、しえみが近づいてきた。今までの会話は聞こえてなかったらしいが、今の志摩の言葉は聞こえたらしい。

「志摩君」
「ん?どうしたん杜山さん」
「あの、あのね、私はいつでも志摩君の味方だよ!」
「…杜山さああん!ほんまこの子かわええ!どないしよ家連れて帰ってもええですか?というか、もう俺のお嫁さんになってくれへん?」
「え、えっ?お、およ、お嫁さん?」
「そうやお嫁さん!杜山さんさえ良ければ俺のお嫁さんに「いやいや!ちょっと待て!」

燐が全力で志摩の暴走を止めると、志摩は「いいところやったのに…」と拗ねる。しかし、いくつもの殺気を感じて、顔を上げる。視線で人を殺せちゃうんじゃないか、というぐらい鋭い視線。今の状況を四字熟語で言うなら、「四面楚歌」。四方八方を敵に囲まれ、どうしようもないこの状況。

「アハ、アハハハハ…どないしよか」
「どうもしないでええわ。志摩、そのままそこ動かんでええからな」
「坊、な、何、するつもりなん…?」
「…何って…こうするんや!」

そう言いながら、志摩に向かって投げられたのはかなり先が尖ったペン。


お嫁さんにもらってあげる
(ぼ、坊!危ない危ないって!うぎゃあ刺さる刺さるぅうう!)


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