▽燐視点


ベタだなあと思ったけど、こんなに可愛いしえみを見たら我慢できるはずがない。「迷子になるかもしれないから繋ぐだけだ」って無理やりすぎる言い訳をしてみる。しえみはクスクスと笑った後、ほんの少し頬を染めて口を開く。

「燐はすぐ迷子になりそうだもんね?」
「心配なのはしえみの方だって」

相変わらずボケは健在。でもそんなボケも愛おしく感じてしまうあたり、俺も相当やばいかもしれない。

「じゃあこうやって繋いでいれば心配ないね」

嬉しそうに笑って繋がった手と手を見せるしえみ。離れないように交差された指を見たら、今更ながら恥ずかしくなってきて目を逸らしてしまう。しえみはそんな俺を不思議そうに見つめていたけど、屋台が見えてくるとあっという間にそっちに意識を向けた。
こういう祭りに来るのが初めてだと言うしえみはたくさんある屋台一つ一つを嬉しそうに眺める。腹へったしなんか食うか、と声をかければ目を輝かせて頷いた。子供みたいに無邪気に喜ぶ姿がかわいいなって思う。

「しえみは何食いたい?」
「えっとね、…あ、あのりんご飴っていうの!」

女って本当甘いもの好きだよなあ。俺も嫌いじゃないけど。
でもまあすげえおいしそうにりんご飴を頬張るしえみは最高にかわいいから、今日一日しえみの望みどおりにデートしてみようと思う。きっとしえみと一緒にいれば最高の一日になるんだろうな。


りんご飴と彼女


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