何だか寂しい季節、冬がやってきた。しえみと出会ってから迎える初めての冬。けれど、志摩は少しも寂しいとも寒いとも感じなかった。なぜなら傍に愛しい彼女、しえみがいるからだ。

「マフラーもしないで志摩君大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。心配してくれてありがとぉ。俺こう見えて結構体強いから、へい、き…くしゅっ」

自慢げに言った傍からくしゃみをする志摩。しえみは志摩のくしゃみを聞いて可愛く笑い出した。志摩も何だかおかしくて、笑って見せた。二人でいるときは、とても楽しくて温かくて、幸せだった。志摩はこの時間がずっと続けばいいと、小さく願ったりもした。

「なあ杜山さん」
「なあに?」
「手、繋いでもええですか?」

ガラにもなく緊張して震える手をしえみに差し出す志摩。しえみはその震える手を優しく両手で包み込み、はあっと息をかけた。一生懸命、自分の手を温めようとしてくれるしえみがとても愛しく感じる。冷え切った手はいつの間にか温まっていた。

「志摩君」
「ん?」
「手、」
「手?」
「うん、っ。こうやって繋ぎたいな、ってずっと思ってたの。だから、すごく、嬉しい」

普段から頬をピンクに染めているしえみだが、いつも以上に頬は赤く染まっていた。そんな彼女はあまりにも可愛くて、志摩は思わず抱きしめた。

「俺も、ずっと杜山さんに触れたかったんや」


ずっと触れたかった君の手


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