▽翔視点


もう少し背が高ければ…、そう何度も思ったことがある。けどあいつは笑って俺に言った。「背が高くても低くても翔くんは翔くんです」って。その言葉に俺は救われた気がした。背が低くてもいいかって思えるようになった。あいつのおかげだ。

今なら俺は今の身長で良かったって思える。

***


「翔くんが身長のこと気にしなくなって良かったです」
「そりゃ、あんなに一所懸命言われたら、そんなことで悩んでるのが馬鹿らしくなるって」
「すみません…」

俺が笑いながらそう言えば春歌もおかしそうに笑うながら謝ってきた。その笑顔はすげえ可愛くてキラキラして見えた。春歌は俺と付き合い始めてから綺麗になった気がする。もともと顔は可愛かったけど、なんていうか大人っぽくなった。何気なくやる仕草に時々ドキリとさせられることがある。目があったときなんか、ドキドキしすぎて心臓が破裂しそうになる。

「…くん、翔くん?」
「う、わっ、な、なんだよ」
「何だって…ボーッとしていたので声かけたんですけど、駄目、でしたか?」

シュンとなって落ち込む春歌は捨てられた子犬のようですげえ可愛い。俺なら余裕でもち帰る、じゃなくて。何言ってんだ俺は。これじゃ那月と同じじゃんか。駄目だ駄目だ。落ち着け俺…駄目だ春歌見てたら我慢できなくなってきた。唇やわらかそう…。

そう思ったときには俺はもう春歌にキスしていた。

「翔くん?!」
「…あ、俺今気づいた」
「何を、ですか?」
「この高さ、キスしやすい」


愛があれば身長差なんて


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