▽トキヤ視点


目の前にいる彼女は私の言葉に固まってしまって口がぽかんと開いたまま困ったような表情を浮かべている。
決して君を困らせたいわけではない。ただ、好きという気持ちを伝えたかっただけです。できることなら君を独り占めしたいとは思います。けれど無理に君の心を奪っても嬉しくなんてありません。君自身が私を好きになってくれないと意味なんてないんですから。
だから、そんな顔はしないでください。

「あの、私、っ」
「すみません、君を困らせてしまいましたね」
「え、あ、違うんです!」

私の言葉に焦ったように彼女は何か言い出そうとした。困った顔から、今度は頬を赤くして恥ずかしそうな表情に変わっていく。何か言いたそうにしているのに言えなくて、口をもごもごと動かす彼女。何を言っているのか私には聞こえない。
期待してもいいのですか。こんなに頬を染めて恥ずかしそうに俯いていれば男なら勘違いしてもおかしくない。高鳴る胸を抑えられそうになく、口角は自然と上がる。

「私、嬉しくて…。一ノ瀬さんがそう思ってくれていて…あの、」
「それは私の気持ちを受け取ってくれる、ということですか?」
「はい…私で良ければ」

彼女が必死に絞り出した返事は期待通りのもので。はにかみながら彼女は私の気持ちを受け止めると、確かにそう口にしたのだ。その笑顔にドキリと胸が鳴ったのが分かる。
私は自分でも気づかないほど彼女に惹かれていた。もう絶対に離したりはしない。彼女を愛してる。例え彼女が嫌がっても離してはあげません。

「七海くん…いえ、春歌。愛しています」


さあ一生分の恋をしましょう


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