▽狩屋視点

空野さんが茜さんの誕生日プレゼントを選ぶと聞いて俺はまたとないチャンスだと思った。俺も茜さんへのプレゼント選びたいから一緒に買いに行かない?と言えば、何にも怪しまれずに休日に二人で出かけられるのだから。

「うん、いいよ!じゃあ明日の1時に学校前ね!」

案の定空野さんは快く承諾してくれた。俺の下心になんて全く気づかず、けど。空野さんじゃない別の人が気づいちゃったらしくものすごい殺気を立てて睨んでくる。普段から鋭い眼光はさらに鋭くなって俺に突き刺さる。何となく痛い。
ていうかそんなに睨むなら自分だって行動を起こせばいいのに、とか言ってみるけどそんなの無理か、だって剣城君だし。女子に全く興味無いぜ的なイメージを周りにもたれてるし下手に女子に近づけないんだよねきっと。どんまいじゃん。少しざまあみろとも思ってるけど。うわ、今俺すげえ嫌な男だった。空野さんにバレたら嫌われるよなきっと。気を付けよ。
っていつの間にか剣城君が目の前に来てすげえビビった。威圧感すごすぎるっしょ。

「どうしたの、剣城君」
「明日俺もついて行く」
「はあ?!」

ちょ、なに、どういうこと?剣城君もついて行くって何それ。デートじゃなくなっちゃうってことだろ?(まあデートではないんだけど)は、ふざけないでよ剣城君。なに邪魔してくれちゃってんの。ていうか剣城くんが空野さんに直接言えるわけないし。「俺も行く」なんて。空野さんも俺との約束があるから断るはず、きっとそうだ大丈夫。心配することでもないじゃん?動揺するな俺!
そんな俺に見せつけるように剣城君は水分補給のボトルを用意している空野さんのところに走っていく。

「空野、」
「ん?剣城君私に何か用?」
「明日茜さんのプレゼント買いに行くんだろ?俺もついて行く」
「いいよ!皆で出かけたほうが楽しいしね!時間は狩屋君に伝えてあるから聞いといてね!」
「ああ」

空野さんと話し終わった様子のあいつは驚く程いつもの表情とは正反対で鳥肌が立った。鋭い眼光は優しい眼差しに変わっていて、頬も微かだけど緩んでいるように見える。正直気持ち悪い。あんなにあからさまに機嫌がいい剣城君は正直見たくない。剣城君のイメージが崩れていくっての。
きっとあの表情は俺にとって良くない展開に話が進んでいる証拠だ。ああもう最悪だ。せっかく空野さんとデートっぽいものができると思ったのに!剣城君のあほ!むっつり!!

そして俺の目の前まで来た剣城君は嫌味な笑顔でこう口にした。

「俺はお前なんかに負けない」

ふうん、だから?俺だって剣城君なんかに負けねー。空野さんは俺が初めて好きになった女の子だから絶対に渡さない。どっちが空野さんを幸せにできるか、はっきりさせようよ。剣城君がどんなに強敵だろうと絶対に負けねーから!
それから俺は対抗するように剣城君に向かって余裕の笑みを浮かべてやった。


あいつなんかに負けない

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50万打企画。秋穂ちゃんリクエスト。
リクエストありがとうございました。今回は京葵狩の方で書かせてもらいました。やっぱり三つ巴といったら葵ちゃんのお相手はこの二人かな〜と思いまして。二人共大好きなキャラなので楽しく書くことができました。ありがとうございました。


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