▽狩屋視点
いつまでも見ているだけじゃ駄目だって分かってる。けど、楽しそうに話をする空野さんを見たら邪魔なんてできなくて、でも見ているだけなのは辛い。曖昧な自分にイライラすることも多くなった。
「狩屋君、一緒に部室行こ！」
「うん、行こうか空野さん」
でも、そんな俺の悩みも空野さんのきらきらの笑顔でちっぽけに感じる。そばにいられるだけでも十分かななんて、俺超健気。とか言ってみたけど、空野さんがあいつのものになるとか考えたら腹が立つ。やっぱりとられたくない、空野さんが好きだから、俺だけを見て欲しいから。曖昧な考えはもうやめる。ちゃんと向き合うんだ。まっすぐ目を見て、俺の声で気持ちを伝えて。どんな結果だろうと、構わない。
「ねえ、空野さん」
「ん？どうしたの？」
「俺、空野さんのこと―」
「空野！」
覚悟を決めて口を開いた、それなのに。いいところで邪魔をされた。俺たちのすぐ近くまで来ていたらしい剣城君は、かなり焦った表情で空野さんの名前を呼んだ。そりゃそうだろうな、自分の好きな女を俺が口説こうとしたんだから。いつもクールな剣城君がこんな表情をするなんて驚いた。空野さんも同じように思っているのかポカンとしてて口が半開き状態。何か間抜けっぽいけど、それがかわいい。
剣城君は俺たちの視線に気づいて慌てていつもの表情に戻す。余裕なんてどこにもないだろう剣城君は俺のことを一瞬だけ睨んで空野さんを連れて行こうとした。行かせないよ、剣城君。
「話の途中だから連れて行かれると困るんだけど？」
「…チッ。どうせ大した話じゃないだろう」
俺の言葉に空野さんも頷いてくれるけど剣城君は空野さんの意見も聞かずにそう言葉にする。どうやら今俺は遠まわしに宣戦布告されたらしい。あーあ、完全に目覚めちゃったみたいだ剣城君。一番敵に回したくないタイプを敵に回しちゃった。最悪。でも、それでも俺は引く気なんてない。好きだから奪い取ってやるんだ、剣城君から。
「俺、空野さんが好きなんだ。だから邪魔しないでくれる？」
「……っ」
はっきりそう言ってやれば剣城君は心底驚いた顔をした。何だか気分がいい。表情を崩させただけで勝ったような気分になる。けど剣城君は次の瞬間には威嚇するように俺を睨んでいた。あーすごく怖い。睨みに関しては剣城君の方が上、かも。
なんてのんきに考えている暇もなさそうだ。剣城君も空野さんに向かって思いを告げていた。いよいよ、戦いの火蓋が斬って落とされるわけだ。剣城君には絶対に負けない、いや、剣城君にも誰にも空野さんは渡さない。だから言ってやった。
「空野さんが選ぶのはきっと俺だよ」
どんなにださくても必死になって選ばれてみせる。奪ってみせる。お願いだから空野さん、俺だけを見てて。
好きなら奪い取れ！
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50万打企画。ルナさんリクエスト。
リクエストありがとうございました。京葵狩人気ですね〜ルナさん以外からもたくさんのリクエスト頂いております。私も葵ちゃん絡みの三つ巴ですと真っ先にこの三人が浮かびます(笑)可愛いですもんねこの三人。私も大好きです。
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