鍵の開け閉めは顧問である音無春奈がすることになっている。毎日決まった時刻に開けて、部活終了から30分ほどで部室を閉める。今日も部活終了後部員全員が帰ったことを確認してから部室の鍵を閉めようと音無は部室にいた。だが、試合が近いこともありデータ整理をしてから帰ろうと思い、近くにあった椅子に腰をかけた瞬間睡魔に襲われ数分は睡魔と格闘をしていたが10分後には深い眠りに落ちていた。

次に目を覚ましたときには、1時間経っていた。データ整理は勿論何もできてない。焦る春奈の視界に一人の部員が入った。

「霧野君、こんな時間にどうしたの?」
「自主練してました」
「そうだったの。えらいわね、霧野君」
「いえ…それより先生はこんな時間まで何してたんですか?てっきり泥棒かと思いました」

霧野が真面目な顔してそう言えば春奈はくすくすとおかしそうに笑う。いつもの大人びた笑顔ではなく、だいぶ幼く見える笑顔。霧野はその笑顔にしばらく見惚れてしまった。そして不意打ちは卑怯だ、と小さく呟く。そんな霧野には気づかず春奈は一つ息をついて心を落ち着けてから、霧野に言った。

「さ、もう遅いから帰りなさい。明日も朝早いんだから」
「…はい、じゃあお先に失礼します」
「ええ、お疲れ様。おやすみ、霧野君」

そう言ってまたふわりと笑顔を向ける。あの幼く見える笑顔。その笑顔を見たら胸がドキリと鳴った。先程も同じように胸が鳴ったのを霧野は感じていた。それが何を意味するか霧野は分かっていた。だが一回目に胸が鳴ったときは信じたくなかったのだ。自分が先生を好きになるなど。あってはならないと思ったから。だが、二度目はもう信じるしかなかった。抑えられるほどの軽い気持ちではないことに気づいてしまった。

振り返り霧野は春奈を背中から抱きしめた。春奈は驚き声を上げる。だが霧野はそんなことも気にせず思いを告げた。


泥棒つかまえました
(俺の心を奪った泥棒を、)

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企画:Love my teacher様提出


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