殺され屋

「お助けえええ!!!」
朝っぱらからの大声。
「うるっせーんだよ!!日曜ぐらい寝かせろボケェエエエ!!!」
「銀が一番うるさいよ!」
「あん?誰だそいつ」
俺が指さす先には見たことあるニット帽…
殺され屋のモレッティか…
「とーとーやったな」
そのリボーンの言葉にツナ驚く。
「お前の自己防衛本能が、殺しの才能をめざめさせたんだぞ」
もうツナの手に銃を持たせている。さすがリボーン。
「な!?何わけのわかんないこと言ってんだよ!見ろ!ドロボーが何者かに銃で…………」
銃を構える音がし、ようやく自分が銃を持っていることに気づく。
「…え?」
「その銃でツナが撃ったんだぞ」
「俺ー!!!?」
「覚えてねーのか?寝ながら俺の銃を奪って撃ったじゃねーか」
それに驚いているツナだが、気づけ。
一巻からリボーンに敵わないお前がリボーンから銃を奪えるわけねーだろ。
そう思って見ていたが、いくら夏といえど、朝は少し肌寒い。
俺はカーディガンをパジャマの上から羽織って、ハルや獄寺、山本が来るのを待つ。
するとDr.シャマルがドアから入ってくる。いや、正確には引きずられているが。
ツナ達がなんやかんやで診察を頼んでいると、ハルの胸に手を置いている。
「キャアアアアア!!!」
と声をあげ、シャマルを吹っ飛ばすハル。壁にぶち当たりながらも元気だと言うシャマル。
…馬鹿か。
「ハルじゃないですよ!!もっと重要な人いるでしょ!!?」
あれ、こんなツッコミ原作にはなかった…。
「あー、分かった分かった」
もみっ
ん?下半身に違和感…?気のせいか。
もみもみっ
いや違う!気のせいじゃねェ!!
「…」
見てみると横にはしゃがんでいる酒臭いシャマル。そしてその手は俺の尻に。
ドガアアアアア…
思いっきり回し蹴りを食らわす。
そしてリボーンのレオンを借り、木刀を持ってシャマルの方へ飛び込んでいく。
ドガッ、グシャ、バキィ
などなど、色んな効果音が聞こえるが、気にしない。
取り敢えずコイツ、殺す…!
「俺は女じゃねェんだよこのエロクソジジイイイイイイ!!!」
「お、男だと…!?」
「今気づいたみてェな顔すんじゃねームカつく!!!」
「ちょっ、銀!落ち着いて!!」
フーフーと荒い息と怒りを抑えながらシャマルを見ていると、死体が死体である事が確定したらしい。その途端ツナは焦り出す。
するとリボーンがもう一人呼んでおいたと言う。
……隠れよう。
そう思った時には時すでに遅し。
恭弥が窓から家の中に入ってくる。
「やあ」
「…うげ」
「ヒバリー!!!」
全員驚いている。しかし俺は、逃げる、ステルスになる、いっそ死ぬ、そのどれかの選択肢で悩んでいた。
「やあ、銀時」
アッハイ、俺もう死亡フラグ立ったー。
…つーか、
「土足で家に入るんじゃねエエエエエエ!!」
「そこー!!?」
「つーか出て行けエエエエエエ!!いっそここから落ちて複雑骨折でもして入院しろ!!!」
「そんなヤワじゃないよ」
「んじゃあ俺が殺ってやらアアアアアアア!!!」
「複雑骨折どころじゃなくなってるよ」
「ていうかちょっと待ってー!!?二人とも知り合いだったのー!!?」
「アァン!!?」
「…君達が応接室に入ってきた時、ソファーにいたよ。僕が隠してたから気づかなかったかもしれないけど。それと、銀時は風紀副委員長だよ」
「へ、へぇ、そうなんですか…ってえええええ!!?風紀委員!?銀が!?」
「そうだよ!!なんか文句あんのか…って、何をバラしてくれとんじゃテメェはアアアアアアア!!!」
さっきから叫びまくってんだけど。
「最近では僕に並ぶほどの喧嘩の強さだって言って、不良達が『白夜叉』なんて異名も着けられるくらいだしね」
「え、なにそれ俺知らないィィィイイ!!」
「て言うか、僕死体を預かりに来たんだけど」
「そ、そうだった!」
でもコイツ音聞こえてんだよな。それなら、脅せばどうにかできるかも…。
「ちょちょちょ、恭弥、トンファー貸して」
「?いいよ」
トンファーを預かった俺は、死体に向き直る。
そしてできる限り低い声を出し、
「…オイ、起きねぇとお前の体どうなるかわかってんだろうな?」
ピクリとモレッティが動く。
「こんだけ動いておきながら強情な奴だな…」
そう言って、シャマルや恭弥に溜められた怒りのマグマをモレッティにぶつける。
すると、モレッティは素早く起き上がり、悲鳴をあげた。
「いた、痛いです!!ほんと、ごめんなさい!」
「やっと起きたか」
「いやー、死ぬかと思った」
「い、生き返ったー!!!」
「もういいかい?銀時、どれだけ怒り溜めてるの」
恭弥が話しかける。そういやトンファー使ってたな。
「ん?おお、サンキュー、恭弥。まぁ、コイツに当てた怒りのほとんど、お前だけど」
それを強調しながら笑顔で恭弥にトンファーを返すと、少し口元を引きつらせ、青ざめる。
「…もうしないよ」
恭弥がそう俺に誓い、去っていく。するとモレッティもまた喋り出す。
そして、モレッティの説明をリボーンから聞き、ツナはへなへなと座り込んだ。
いや、俺も疲れたわ。

[ 21/21 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -