生まれ変わった場所は…え?リボーン!!?

「ちょっと!待って!銀時!待ってよー!」
「ツナぁ、あんまおせーと置いてくぞー」
「だから待ってってば!」
俺、沢田銀時です。双子の弟、ツナとバタバタ登校中。
え?ここがどこかって?
そりゃあお前、あのジャンプで大人気だったリボーンだよ。
なんでそんなとこに俺がいるかって?そんなの俺が聞きてーよ、意味わかんねーよ。
めちゃくちゃ苦しい病気のなか頑張ってたら死んで、
死んだと思ったらまたバトル漫画って…。
俺の人生なんだと思ってんだ作者ああああああああああ!!
ふぅ、一旦落ち着こう。
とりあえず明日くらいにはリボーンが来るだろうから、俺は早めに家を出ようと思う。

「はぁ、はぁ、やっと、追いついた…」
「…ツゥ〜ナァ〜くぅ〜ん、先行ってってくんない?」
「え?銀、どうしたの?」
「いーから!」
「わ、分かったよ…」
ツナは走っていく。なんで俺がツナを先に行かせたかって?そりゃ…
「やぁ、銀時。僕と一戦しようか」
最強で最恐の雲雀様がいたからだよォォォオオオ!!
「恭弥くぅん、君何回俺に勝負仕掛けてくんの?つか早く行かないと遅刻すんだけど。
しかも俺今武器持ってないしなぁ〜。あー残念だけどまた別の機会にしない?」
「よく回る舌だね、そんな滑舌どこで鍛えたの?」
前世、なんて言えるわけねぇだろバカヤロー!つか何、俺にそんなに用があるわけ!?
「無いよ」
「へぇー…ってホァ!?お前今俺の心…」
「読んでない」
「じゃあ…」
「口に出てたよ。俺にそんなに用があるわけ、のところ」
「人が喋り終わってから答えろよ…」
「それより君、遅刻がどうのって、言ってなかったっけ?あと五分だよ」
「…は?」
恭弥は俺に時計を見せてきた。
そこには8時20分の文字。つまり並中の登校時間はあと五分。
今俺がいるのは家から学校まで丁度中間辺り。どうあがいてもあと10分はかかる。
恭弥の顔を見るとニヤけていた。
コイツ…!
「テメェ、全部仕組んでやがったな!」
「仕組むなんて人聞き悪いこと言わないでくれる?時計も持ってない君のミスだと思うけど?」
ニヤニヤニヤニヤしやがって!縫い付けてやろうかその口を!!
「あぁ、いいよ…あと五分で間に合わせてやらァァァアアアアアア!!!」
俺はダッシュで走り出した。
途中で走っているモブ共はこっちを向くが、そんなこと気にしている暇はねぇ。
ダッシュだ。走れ!走れ銀時!


そうして走っていると学校に着いた。学校の時計を見る。
8時24分。ギリギリセーフ!
「よっしゃあ!」
「残念だったね、銀時」
ふわり、上から嗅ぎ慣れた匂い。
上を見上げると、ニンマリ笑った恭弥が俺の顎をつ…となぞった。
ゾワリと寒気が背中を走り、冷や汗が流れ出る。無意識にゴクリと唾を飲み込んだ。
こういう時の恭弥は、ヤバい。
本能的に逃げようとした。が、ここまでの全力ダッシュで疲労した俺の体と体格の差が相俟って、それは叶わなかった。
転生で縮んだ俺の体が憎い。今になって高杉の気持ちが分かった気がする。
「残念…って、な、にが…」
震える声で尋ねると、恭弥は笑みを深くした。怖え…。
「あの時計ね、実は止まってるんだよ。
君は走ってて聞こえなかったみたいだけど、チャイムはきちんと鳴ってたよ。
今の本当の時間は、これ」
見せられた時計には、8時29分と表されている。
ギギギ…と油を注していないロボットのような動きで恭弥を見る。すると、
「僕の言うこと、何でも聞いたら闘いは保留にしておいてあげるよ」
と、あのツナの親友ポジの野球少年も顔負けの爽やかスマイルで言い放った。
「チクショォォォオオオ!!」
俺がその後何させられたかって?聞くな。
やっぱり、リボーンの世界、
「ロクなもんじゃねェェェエエエエエエエ!!!!」

銀時の悲痛な叫びは誰にも届かなかった。


「銀時、大丈夫かな」
何も知らず先に着いていた綱吉は窓の外を眺め、そう言った。

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