さえずり

 


「何見てんだ?」



大きめのシャツを1枚羽織っただけの格好で、片足を窓の外に投げ出し窓に寄り掛かって、外を眺めるアレンに神田が静かに聞いた。

まだ6月の夜明け時、AM3:00頃。

神田のシャツ1枚しか羽織っていないアレンには寒いだろうに黙って外を眺めるアレンは間を置いて答えた。



「………鳥が、鳴いてるんです。風もなくて、月の明かりもなくて、鳥の鳴き声だけが響いてる」

「…あぁ」



神田は相づちを打ちながらアレンに寄る。



「……僕もいつか平和な世界で、あんな風にお喋りできますかね」

「…あぁ」

「…暗闇に呑まれないで、生きていくことはできますかね」



小さく呟くアレンの元に辿り着き、いつの間にか流れた涙を拭ってやり優しく力強く抱きしめる。



「大丈夫だ。俺たちは死なない。戦いが終われば毎日笑っていられる。 お前は独りじゃないし、独りにはさせねェ。……、今は寝ろ」



コクッと頷く頭を撫でれば、スッと力が抜けるように眠りにつくアレンをベッドまで連れていき、自分もアレン抱きしめるようにして眠りについた。





真夜中の暗闇から

夜明けの明かりへ

嵐の前の静けさが過ぎるように





END










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