猫屋敷

 


「じゃあ、ちょっとお茶用意するんで。適当に座ってていいですからね」
「あぁ、邪魔する」



言われた通りすぐそこにあったソファーに座る。
テーブルの前にあった丸い座布団の上には猫が一匹。

一息吐いた時、ふっと風に撫でられてそっちを見ると、一人暮らしのくせして無用心に窓が半分も開いてる。
何してんだよ、なんて思ってると、そこから猫が入ってきた。

…おかしい。
ここは二階のはずだ。

寄って見てみると左側に屋根があった。
日光浴か。
猫が出入り出来るように開けてあるらしい。
またソファーに座ったら、ちょうどモヤシが戻ってきた。



「神田はブラックでいいですよね?」
「あぁ…さんきゅ」
「いいえっ。どうぞーっ」



こいつの淹れるコーヒーはそこらへんのカフェのなんかより断然うまい。…言ってはやらないが。

カップをとろうと組んでいた足を下ろすとふわふわした何かを踏んだ。



「あ?」
「なんです?」
「猫…踏んだ」
「あー大丈夫。意外と丈夫だから!」



―ガタッ

―タンッ



「……。…猫…」
「よくあそこに入って寝てるんですよ!暖かいんですかね、本棚」
「お前、何匹飼ってんだ!?さっきから猫がわらわらいるぞ!」
「だって捨て猫とか見たらかわいそうで…目なんて合っちゃったらもうっ。拾ってきちゃうんですよねー」
「ただでさえ食費はんぱねぇくせして…」
「うっ…そ、それは、まぁ、何とかしてますっ」



猫は別に好きでもねぇが…
モヤシの優しさってやつか。
猫を愛でるモヤシを愛でるのも悪くねぇ。



「いってっ!」
「なに!?」
「足かじられたっ!」



……けがには注意だ…。





END











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