遠くで銃声、それから仲間の呼び声、走る音。それらから想像できるのは殻が現れたということ。丁度その音がする方向へ首をやると男の殻が崖の下を走り去っていった。その後を我先にと何人かの闇人達が追っていた。
「お前は行かないのかよ。」
久々の殻の発見に嬉しそうに銃を揺らす仲間はあいつらについて行きたそうに言った。
「どうせあんだけの人数で追い回したら捕まるでしょ。まあ、捕まらなかったら捕まらなかったで別にいいけど。」
目の周りを黒くした闇人はつまらなさそうに銃を下ろすとふーんとだけ呟いてまた男が去った方へ向き直した。貴重な殻だ。勿論頭の中では追いかけろと命令しているが何故か体は従わない。
「鳩に知られたらどうなるんだろうな俺達。」
恨みがましく言われたそれには少なからず共犯を促したそれが含まれている。行きたきゃ勝手に行けばよかったのに。そう言ってやりたかったが波を立てるのもまた面倒くさいので止めておいた。
「お前は何で行かなかったんだよ。」
「どうしてか分かってたら行ってるよ。お前こそどうなんだよ。」
問いかけると男は決まりが悪そうに俯いた。なんだ言えないことでもあるのか。はたまた自分と同じように解らない理由でもあるのだろうか。どっちにしろ答えられないなら自分と同じではないか。ふと下を見るとどうやら殻に逃げ切られたようで仲間たちがそれぞれの持ち場に戻ろうとしていた。自分もそろそろ戻ろうとすると不意に声をかけられた。
「お前のせいだよ。」
「は?」
全く意図が理解できなくて、挙句に人のせいにするその考えが分からず不快感をそのまま顔に出して答えた。そういうと奴は自分と同じように顔を顰めながらばーかと一言俺に言い、自分の持ち場に去っていった。






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