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「特に発熱とかの変わった様子も無いし、ただ体が小さくなっただけみたいっすよ。まぁ、脳みそまで小さくなったもんだから、思考も幼くなってるけど。」
「じゃあ、害はないんだな?」
「そうですね。」
「分かった。」
鯉伴は鴆の話を聞くと、名前1を抱き上げ縁側から外を見た。きょろきょろと名前1は周りを見渡し鯉伴を見つめ首を傾げた。
「まぁまは……?」
「ん?」
「まぁまは、どこにいるの?」
鯉伴はじっと名前1を見つめ、自分の部屋へと駆け出した。名前1はぎゅっと鯉伴の着物を掴み落とされないように目をつぶった。
「名前1……、いいか、よく、聞くんだぞ。」
「うん。なぁに?」
「父さんの事をパパって言ってくれないか?」
「うん?とおさんは、とおさんじゃないの?」
「父さんは父さんだけど、パパっていうのも父さんって意味なんだ。だから、父さん、パパって言ってほしい。」
名前1は恥ずかしそうに俯き、もにょもにょと口のあたりを手で触る。
「たった一言だけでいいんだ!さぁ!」
鯉伴は目を輝かせ名前1を見つめる。名前1はあーうー、と声を出し、最終的に小声で言葉を発した。
「ぱぁぱ……?」
「っ!っっっ!」
鯉伴は名前1のあまりの可愛さに声を出せず感動している。鯉伴はその後名前1が元に戻るまで名前1を離さなかった。
名前1が元に戻った瞬間は平手打ちを食らっていたが、当の名前1も顔が照れくさそうにしていたので存外嫌ではなかったようだ。
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