初めてのお仕え | ナノ




#4 自己紹介は簡潔に



「初めまして。今日からこちらでお世話になります、金城七星です。皆様の足を引っ張らぬよう精進致します。よろしくお願い致します。」


幸い昼間の暇な時間帯だったため、ほとんどの隊士が集まった。

突然女隊士が入隊するなんぞ、すんなり認められるはずかねぇ。
俺達にだってプライドってもんがある。
いきなり隊長格扱いの奴が現れて、更にはそれが女とくりゃ反対する奴が出てきてもおかしく

「質問してもいいっすかー!?」

「はい。」


そりゃそうだ、疑問と不満だらけだろうよ、だが相手は女だからな、さすがに手加減してやってく

「歳、いくつっすか!?」

「23です。」


そうだよな、まぁその辺から切り込むのが無難だよな。
そろそろ喧嘩吹っ掛ける奴が出てくるはずだよな

「何型っすか!?」

「AB型です。」

「住み込みっすか!?」

「はい、ここでお世話になります。」

「マジでかぁあああ!!!!」


………そろそろガツンと来る奴が

「隊長格ってことは新しく隊が出来るんすか!?俺そこに移動したいっす!!」

「私は広報兼経理部長らしいです。主に雑務を担当致しますので、手助けは不要かと。」

「困ったことがあったら何でも言ってください!!」

「特に土方さんのパワハラ気を付けて下さい!!」

「セクハラにも!!」


おいぃぃいいいい!!!!
てめェらにプライドっつーもんはねぇのか!!!
何これ!!合コンみたいになってんだけど!!
全員目がハート状態なんだけど!!!

俺が思ってる以上にこの組織バカだった!!!!
コイツら完全にバカだった!!!!


「土方さん、残念でしたね。反対する奴ァゼロですぜィ。」

「てめェら…………てめェら全員切腹だコルァアアアア!!!!」

「落ち着けトシィィイイイイ!!!!」

「…………。」


手当たり次第に一頻り暴力を奮ったのち、改めてこちらから紹介する。


「えー、とっつぁんのコネで入隊した金城七星だ。諸事情により身分を隠したい。よって、名字で呼ぶな。」

「七星ちゃんっすね!!」

「もっかいブッ殺されてェか?ちゃん付けなんて間抜けな呼び方許さねぇぞ。部長と呼べ。」

「七星さんでいいですよ。」

「お前が決めるな。しかも何ちゃっかり"ちゃん"から"さん"に格上げしてんの?」

「ちゃん付けされるような年齢でもないので。」

「だそうだ。いいな、部長と呼べ。」

「副長、広報兼経理部長って具体的に何するんすか?」

「とりあえず、当面は俺の事務仕事のサポートさせる。広報については追々だな。」

「「「「「………ずっりーぃぃいいい。(小声)」」」」」

「出たよムッツリ。死ね土方。(小声)」

「あぁん!?なんか言ったか!?てめェらやっぱ全員腹切れ!!!!」

「…………。」


刀を抜いて至る所へ振りかざすと全員が血相を変えて会議室から逃げ出した。
静かになった部屋に、俺と近藤さんと総悟、そして七星だけが残った。


「土方さん、パワハラもいい加減にしたらどうですかィ。」

「まぁ、紹介は出来たし、タイミング良く解散出来たな!七星ちゃん、今日はとりあえず荷物の整理して、ゆっくりしてていいから!明日からトシのこと手伝ってやってくれ!!」

「ゆっくり…ですか…。では、食堂で紅茶とスコーンでも頂きましょうか。」

「付き合いやすぜィ。」

「お前は仕事しろ!!つーか紅茶とスコーンなんかあるわけねぇだろ!!!」

「ないんですか?ゆっくりするのに紅茶とスコーンは必須なんですが、セレブ的に。」

「茶を飲め茶をぉお!!ここで今まで通りの生活が送れると思うなよ!!資金ギリギリで回してんだからな!!」

「……分かりました、お抹茶と羊羮で我慢しましょう。」

「…総悟、コイツに茶出してやれ。いつものうっすいの。」

「へい。」


ダメだ、ツッコミが追い付かねぇ。
うちはなんでこうも揃いも揃ってボケ要員ばっかなんだ?
バカなのか?この組織バカなのか?

先が思いやられる…。


「七星、この前とっつぁんが差し入れで持ってきたマドレーヌ食いやす?」

「あ、食べます。」


え、何ソレ。


「食堂のオバちゃん達が食材と一緒に内緒で取り寄せて隠し持ってるハーブティー飲みやす?」

「あ、飲みます。」


え、何ソレ!?!?


「案内しまさァ。」

「沖田隊長は話が分かる方で助かります。」

「ティータイム俺も混ぜてーー!!」


すげェめんどくさいとこが意気投合してるぅぅううう!!!!

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