永久の痛み



数年、たった。
いきなり三歳になって、いきなりお兄ちゃんが出来た。確かにあたしはオタクだったからスラムダンク知っていたけど、詳しくなかった。桜木花道、流川楓、赤木……ゴリ、…小暮…メガネくん、宮城リョータ、赤木晴子、彩子、そして三井寿。このくらいしかあたしはわからない。あと、せんどーとかうおずみ…とか居たような気もする。他には桜木軍団とか、福ちゃんとか、安西先生とか。心の底から愛してる世界ならばこの悲しみは少し和らいだかも知れない。
まだ、数年。されど、数年。ずっとずっと痛くて仕方ない心も、たまに溢れそうになる涙も。これはおさまらないって、一生この淋しさは続くってわかってる。だからどうか、どうか…大好きなお兄ちゃんには悟られない様にしたい。頑張って頑張って頑張って…そしたら大人っぽいと言われる様になった。

私は小学生になりました。

少しでもかわりたくて、あたしから私に変えた。いつも短めだった髪型は伸ばすことにした。お兄ちゃんと似てる、蒼みがかった髪の毛は大好き。でも、この現実を突きつけられているようで少し嫌い。あたしの髪は、真っ黒だったから。真っ黒だったあたしの瞳も、今は蒼っぽい瞳の私。あたしはもういない。私しか存在する意味は、ない。
最近バスケを頑張るお兄ちゃん。もう部活に入るべき四年生。バスケは楽しそうで、私に毎日なにがあったとか教えてくれる。バスケが好きでも私を構ってくれるお兄ちゃんが好きで好きで、最近私はブラコンなんだって気付いた。別にいい、本当にお兄ちゃんのことは大好きなんだから。
…ただ、お兄ちゃんが楽しそうにバスケをしているのを見ると心が痛む。この先お兄ちゃんは挫折するんだって。お兄ちゃんは不良になってボロボロになるんだって。それが痛くて痛くてどうしようもない。


「葵っ!今日、部長に褒められたぜ!」

「良かったね、お兄ちゃん!」

「おう!葵もバスケしてみろよ、楽しいぜ?」

「私はちょっと…お兄ちゃんと違って運動音痴だし。それに見てるのが好き…たしなむくらいにしとくよ」


そっか、と笑うお兄ちゃんは爽やかだった。それはこの痛みには優しすぎて、無性に泣きたくなった。



 


[ 3/3 ]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -