変貌を遂げる
あたしとうとう死んじゃったな。地獄に堕ちるのかな…痛いのやだなぁ。そしてふと目が開ける感覚に気付いて目を開ける。地獄か…もしかしたら、天国かな?
「……う?」
なにここ。家……?と言うか、今のあたしの声!凄く小さい女の子の声だった。え、なにこれ…どういう…。
「おっ!起きたか?葵」
ふと男の子の声が聞こえてそちらを見たらちいさい男の子がいた。かわいい。…じゃなくて、今のあたしの名前?この人誰なんだろうか。うまく言葉が出ずに首を傾げる。
「どーした、葵?聞きたいことがあるなら、このひさしお兄ちゃんに聞きなさい!」
ひさし、おにいちゃん?そのときずきんっと頭が痛くなってうずくまる。男の子が慌ててるけどあたしはそれどころじゃない。ゆっくりゆっくり深呼吸して頑張った。
「葵…?大丈夫か…?」
この子はあたしの兄で、三井寿。きっとあの三井寿なんだろう。よく見たらそんな感じ。そしてあたしはその2つ下の妹で今3歳。幼稚園に入りたてで、三井寿は来年小学生だ。
つまり、あたしは転生…その上トリップしたらしい。あのスラムダンクの三井寿の妹に。いやいやいや、どうしよう。結論は出たけどあたしどうすればいいの。落ち着こうあたし。あたしはいい年してるのんだから、中身は脳内は。まず目の前で心配そうな三井寿をどうにかしなきゃ。
「…だいじょうぶだよ、おにいちゃん」
「本当か?どこも痛くないか?」
「うん、へーき」
「そっか…なら、いいんだ」
へらっと笑う三井寿は可愛かった。それと同時に3歳だからか上手く話せないあたしが気持ち悪い。本当は痛いよ、こころが。でも言わないよ、だってね、あたしの記憶には三井寿というおにいちゃんが何より大好きってあるんだ。
「んじゃ、遊ぶか!」
「…うんっ!」
優しくて大好きなおにいちゃん。さっき初めて見たのにこんなに大好き。あたし今まで大事にされてたんだね。まだ、違和感が抜けないけどあたし…いや、葵はおにいちゃんが大好きなんだ。 だからね、少しの間だけ嘘をつくね…おにいちゃん。あたしまだ三井の名字を受け入れきれない。
だいすきだよ、 ひさしおにいちゃん
だから、 もう少し待っててね… きっと受け入れるから…
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